JASRACとアニメ会社の著作物利用に対する姿勢の違い

文化庁の同人誌コメントには意外なほどクリック数があった。で、リンク先から見つけたエントリー。

この件ってパクったパクられたなんてことより、権利持ってる人が損か得かの方が重要なわけでしょ?
JASRACさんもそういう視点で議論できないかな。
2006-06-05 - プリキュア様崇拝日記


JASRACさんは基本的に損得でものごとを考えているところだと思いますよ。基本的にJASRACさんの考える事はシンプルで、著作物を使いたかったら金を出せと言う、大変分かりやすい行動原理となっていると思います。

とすると、使う方としては簡単です。安いと思ったり、適当な金額だと思うのならJASRACに金を払って利用すればいいし、高いと思ったのなら使わなければいい話です。また、どうしても使いたいけれど、とてもじゃないけど高すぎると思うのなら、JASRACと交渉すると言う手もあります。利用者団体が必要みたいですが。

個人的にはJASRACの姿勢には好感を持っています。と言うのは、合法的に使用する手続が、ある程度は用意されているからです。ルールをきちんと決めて、ルールを守っている方々はおとがめ無し。ルールを守っていない方々は警告なり訴訟なり起こす。まったくもって公平だと思います。

どちらかというと、アニメ会社の方が著作物使用に関して厳しいと思います。おそらく、各アニメ会社は個人への著作物の使用を禁止して、「黙認」の形でさじ加減をしているのでしょうが、これに対しては少々反感を持っています。基準が曖昧ですし、恣意的にルールが運用される可能性もあります。合法的に著作物を使用したい方々がいるとしても、手続が用意されていないため、結果的には訴訟リスクを負ってファン活動をおこなわなければならない事になります。


では、どのようなルールが規定されているのか、観ていきましょうか。まずはサンライズ

インターネット上でのサンライズ作品の画像について
インターネット上では「非営利目的」や「個人のホームページ」の場合でも、使用頂けません。

「営利を目的としていないから」「個人のホームページだから」といった理由でのお問い合わせがありますが、 このような場合でもご使用頂けません。インターネットの特性上、「私的に使用する」ということはありえず「複製・配布」と同義ということになりますので、画像はご使用頂けません。

■自分で制作した小説やイラストなどについて
サンライズ作品をもとにしてご自分で制作された小説やイラストでも、サンライズが許諾していないかぎりインターネット上では、ご使用頂けません。
http://www.sunrise-inc.co.jp/s_atten/link.html


基本的に厳しいルールです。画像の使用は禁止しているようですし、小説やイラストに関しても許諾が必要というわけです。許諾がほしい場合、どこに連絡すればいいのかも明記されておりませんし、許諾条件も書いてない。これではちょっと問題があるのではないかと思います。


次は、ガイナックスです。二次使用に関しては明記されてはいないみたいですが。

著作権
営利・非営利、個人・団体・企業問わず、当社作品のキャラクター、場面写真または動画・音声等の著作物を、いかなる場合においても無断使用することを認めておりません。

インターネット上での当社著作物の利用について
個人の運営するホームページ上で、当社作品の画像・音声データ等を掲載したい旨のご要望を数多くいただきます。インターネットやパソコン通信など公共のデジタルメディアの特性として、ホームページへのデータ掲載は複製・配布と同義であると考えられますので、下記例外をのぞき、個人ホームページへの当社著作物の利用はご遠慮いただいておりますので、ご了承ください。
 当社では、ホームページへの「エヴァンゲリオン」「フリクリ」の画像掲載についてガイドラインを定めていますので、ホームページに「エヴァンゲリオン」[フリクリ」の画像を使用される場合には、ご一読ください。
http://www.gainax.co.jp/info/index.html


エヴァフリクリの画像データの使用を認めている点で、サンライズよりは柔軟といえるでしょうね。ただ、なぜエヴァフリクリだけなのかという疑問は残ります。権利処理の問題でしょうか。画像以外の利用に関しては、サンライズと同等かな。「利用」とある場合、二次使用も含むはずだから、その点に付いてもサンライズと同等だと思います。



次は東映アニメ。これはもうシンプルイズザベスト。

Q キャラクターの画像を自分のウェブサイトで利用したい。
A 個人に対するウェブサイトでの画像使用許諾は行っておりません。ご了承下さい。
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画像の許諾をおこなってない上に、二次使用に関しては何も触れていない。



つらつら書きましたが、結論としては、

・日本のアニメ会社JASRAC以上に著作権に厳しい

と言いたかったわけです。まぁ、JASRACは警告も訴訟も起こすけど、アニメ会社はそんな事はしない。黙認してくれる方がありがたい。同人誌やウェブサイトはグレーゾーンで構わないと言う意見の方もおられるかも知れませんね。それはそれで構わないと思います。

また、著作権等管理団体であるJASRACと、一民間企業であるサンライズガイナックス東映アニメを同列に比較するのもおかしいと思われる方もおられるでしょうが、利用者の立場では相手がどこだろうと変わらないと思いますし、敢えて並べる事にしました。

書いていて思ったけど、以前書いたhttp://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20050621/1119372358とはかなりスタンスが違ってきてしまってるな。今の考えをつづるのがブログだと、言い訳しておこう。