権利の二階建てに関して思う

最近、著作権とは別の権利を作る動きが活発になっているようだ。日経新聞に掲載されている境氏の論文に関しては未読なので、私が読んだ中で一番まとまっている、バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳氏の解説を引用させて頂くことにする。

さて、それでは二階建て制度というのはいったい何をしようとしているのか、何に役に立つのかということですけど、これは簡単に言えば、著作権法とは全く別の制度を作って、商用目的のコンテンツについてはそちらで守るようにしてはどうか、というものです。 登録制にする代わりに、著作権法よりも強力な保護を与えるというものになりますね。むやみに著作権の範囲を拡大することなく、商用のコンテンツの保護をできるようにするということになります。
知的財産推進計画2006によせて(1) | OSDN Magazine


まだよく理解してないので、ある程度直感を交えて話をしてみる。


個人的には否定的したくなる。感情面から言えば、商用目的で登録制、従来の著作権より強い権利というのは、世の中金なのか、とひねてみたくなってくる。金を持っている人が強い権利を得て、貧乏人は従来の著作権で我慢しなければならないのかorz、と言うのは単なるジョークである。金持ち優遇と言う批判の声は上がるかもしれないが、新権利によって産業が発展するのなら、それはそれで構わないと想う。社会全体のメリットを考えようと言う権利なのだから、個人の感情を優先させるのはよろしくないね。


否定的というのは、新しく権利を作る事自体に否定的なのだ。つまり、

1.新権利は登録と同時に発生する。同時に、著作権法の保護下からははずれ、著作権との二重の保護体制にはならない。


個人的には、契約で解決する話じゃないのかなと思う。登録制である以上、管理団体が必要だが、それを国で行う必要があるのかと言う疑問。官でできることは官で、民間でできることは民間で行えばいい。立法せずとも、民間の著作権管理団体を立ち上げて、規約の下に運用すればいい話なのではないかと思う。例えば、JASRACは著作者に与えられている許諾権を、実質的に報酬請求権化しているが、現在の法律の下で動いており、新しい権利を作るだのと言う話にはなっていない。著作権者の合意と、契約があれば、著作権法に書いてなくとも大抵の事は実現できるのではなかろうか。


真紀奈17歳氏が、新権利で実現したいことは以下のようであるが、この辺りは、著作権管理団体があれば済む問題なのではないかな。国主導で著作権管理団体を作るのと何が違うんだろ。国が保証しなければ、権利者が参加したがらないと言う話なのかな。

6.登録の際に窓口を設定し、使用を申し込まれた場合の対応を可能にしておく。
7.条件が合わなかった場合、登録機関の定める一定料金(使用範囲、目的等によって増減)の供託により、使用を可能とすることに、登録者は合意しなければならない。
8.3-step-test(※)を満たす範囲の使用については、無償で許諾するものとする。
9.3-step-testを満たさなくなった場合、原権利者は二次使用者に対して、二次利用の収益から自らが得られるはずであったはずの利益を得ることが出来る。差し止めの権利は与えない。利用当初から3-step-testを満たしていない利用の場合、収益を超えて賠償を得ることが出来る。