福島県教委の英断


英断というか、飛び込み禁止は当たり前だと思うんですけどね。教育委員会の立場を考えれば。

 福島県教委が1日付で県立学校のプールでスタート台から飛び込む行為を全面禁止にした措置に、高校の水泳部員が困惑している。県立高校のプールに飛び込んだレスリング部員が死亡した事故を受けて出された通達だが、国体予選の県総体が目前に迫る水泳部員は大会に向けたタイム測定さえままならない。やむを得ず禁を破る高校もあり、水泳部関係者からは「経験を積んだ水泳部員なら危険はないのに」と通達解除を求める声が出ている。
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/07/20080722t63021.htm


事故が起こった場合、責任を一身に背負わされるのは教委なのだから、教委が事故を起こさないようにするのは当たり前の話です。多くの方々と同じく、私も飛び込み事故は防げないものだと思います。防げないものである以上、何らかの対策をしない限りは飛び込み行為を禁止するべきであるし、飛び込み行為を許可する事は自殺行為だと思います。対策を施した所で事故は起こるでしょうが、「対策をしたのだから、この事故は仕方ない」と抗弁する事が可能です。対策なしに飛び込み行為を許可して事故が起きようものなら、袋だたきは間違いないと思います。


ところで、飛び込み禁止の件で、福島県教委を批判している人の多くが、日本水泳連盟における「スタート台と水深のガイドライン」を無視して語っているようです。ここで「スタート台と水深のガイドライン」を紹介するのも、無意味ではないと考えます。

3.ガイドライン
水深1.00m〜1.35m未満のプールにおけるスタート台の高さのガイドラインを以下のとおりといたします。


プールの水深     スタート台の高さ(水面上)
1.00〜1.10未満    0.25m±0.05m
1.10〜1.20未満    0.30m±0.05m
1.20〜1.35未満    0.35m±0.05m


プール水深とスタート台の高さに関するガイドラインの目指すもの

今回、事故が発生したプールの水深は1.2mであり、スタート台の高さは60cmです。明らかにガイドラインの基準値を外れています。基準値から外れている以上は、教育委員会がスタート台からの飛び込みを全面禁止するのは妥当な措置であり、英断であると考えます。もちろん、基準値内のプールに関しては飛び込みを許可するべきですが、許可するにしても一度全面的に調査してから許可するべきだと思います。


誤解しないでほしいのですが、私は、プールのスタート台からの飛び込み禁止に賛成しているわけではありません。教育委員会が飛び込み禁止措置を取る事に賛同していますが、条件付きで飛び込みを許可するべきだとも考えております。

  1. 日本水泳連盟のスタート台の高さのガイドラインを学生に熟知させ、いつ事故が起こてもおかしくない事を納得させる事
  2. 学生の家族に対しガイドラインから外れたプールのスタート台から子供を飛び込ませる事を承諾させる事。
  3. 教育委員会への責任を問わない事を承知させる事
  4. いつ事故が起きてもいいように、学生に対して保険を義務づける事。

以上の事をクリアした学校に対しては、飛び込みを許可するべきだと思います。そうでない限り、飛び込みを許可するべきではありません。事故は起こるという前提の元に、条件を考える事が必要だと思います。