ハートキャッチプリキュア!のここが気になった


ハートキャッチプリキュア!が終わりました。個人的には楽しめた作品ですし、好きな作品であるとは言えます。キャラクターに関しても、例えばえりかはお気に入りのキャラです。十二分に楽しんだ作品ですが、気になったところも多いのです。自分がハートキャッチプリキュア!の何を気に入らなかったのか、何が面白くなかったのかを確認するために、エントリーをおこす事にしました。



1.つぼみのポジショニング


ハートキャッチプリキュア!の最終話、えりかが「ちょっくら地球を守ってこよう!」とか言う台詞を吐きますよね。うん、これこそが主人公の台詞、主人公の存在感というものです。


ハートキャッチプリキュア!は、本来は主人公タイプのキャラではないつぼみを主人公に据え、主人公タイプのキャラであるえりかをサブに据えたところに特長があると思うけど、それが成功したとは思えないんですよね。主人公の資質として「強烈な個性で周りを引っ張る」というところがあると思うのだけど、それはえりかが持っていた。


もっとも、それだけが主人公の資質という訳ではなく「最初は弱いけど成長に伴い存在感を発揮する」というのもあるだろうし、「猪突猛進で視野が狭い脇役を、広い視野でコントロールする」と言うのもありえる。主人公らしくない主人公と言うのは「あり」だとは思うけど、最低限、強い存在感は必要だと思うのだ。そして、私見ではつぼみに主役としての存在感が与えられることは、最後までなかったと思います。


つぼみという主人公は、えりかの強烈な個性、いつきの生徒会長としてのポジション、最強と言う属性を与えられたキュアムーンライトさんと言うキャラクターのなかで、埋没してしまった感があるのですよ。敢えて言えば、主人公という役割を与えられただけの存在なのですね、私に取ってのつぼみは。



2.ハートキャッチプリキュア!のテーマってなんだっけ


これは他のプリキュア、他のアニメも一緒かも知れませんが、ハートキャッチプリキュア!は、テーマが明確でなかったように思います。「デューンを倒す事が目的」なのかも知れませんが、それは手段が目的化している感じもするんですよね。「デューンを倒す事で何を得るのか」が描かれていなかったと思うのです。


例えば、Yes!プリキュア5であれば、ナイトメアを倒す事はあくまでも手段であって、「パルミエ王国の復興」「のぞみの夢を探すこと」と言うテーマがあり、最終回でそれがかなえられるわけですが、ハートキャッチプリキュア!では何がかなったのか明確に与えられていないように思います。ハートキャッチプリキュア!プリキュアたちは、1年通して戦ってきて、何をしたかったのか、何を得たのかが私には伝わってこないのですよ。


もっとも「史上最弱のプリキュアが史上最強になるまで」を描くことがテーマなのかも知れませんが、史上最弱という設定もあまり機能してなかったと思うのです。そもそも、歴史上のプリキュアがはっきりと描写されていません。砂漠の使途の口から「史上最弱のプリキュアだな」と言う台詞はでるものの、映像で史上最弱と言う事は明確に描写されていないように思いますので、史上最弱のプリキュアと言われてもピンと来ません。


また、確かに最初こそブロッサムの戦いはおぼつかなかったのですが、いつの間にか説明無しに敵と互角に戦っていたりしています。話によって強かったり弱かったり、戦い方が安定していない印象を覚えました。ドラゴンボールに比べて「強くなる」という描写は少なかったように思います。



3.こころの花


重箱の隅を突きます。心にネガティブな感情を抱えた人が砂漠の使途に目を付けられ、デザトリアンになるわけです。つまり、「心にネガティブな感情があるとデザトリアンになるんだ。ネガティブな感情を持ってはいけない」というメッセージを発しているのでしょうか。そうではありませんよね、心にネガティブなもの、ポジティブなもの、両方をもっているのが人間という存在なのですから。


「負の感情を抱えてもいいんだ」というメッセージがあったのかも知れませんが、私にはそれはありませんでした。あ、えりかの宿題話を忘れていた。あの話ではえりかの心の中の天使は悪魔に完敗したわけですから、えりかこそ我々の代弁者だと言えましょう。


また、デザトリアンを倒した場合、デザトリアンは人間に戻りますが、しおれたこころの花はプリキュアが元に戻すわけではありません。人間が、自力で元に戻します。つまり、砂漠の使途にさえ目を付けられなければ、彼らの心は自力で回復したと言う事になります。この辺りに矛盾を感じるのです。プリキュアの戦いと、こころの花が独立しているのであれば、こころの花をしおれさせる必然性がないように思うのです。こころの花をしおれさせるのであれば、プリキュアの戦いとリンクしてほしかったように思うのです。



4.まとめ


ハートキャッチプリキュア!は演出や作画は高レベルだったものの、設定に問題を感じました。また、シリーズ通してのまとまりがなく、個々の話は高水準な話が多かった反面、全体としては印象が散漫になりました。以上が、私の感想です。