アニメ制作会社と広告代理店の関係を再考する

仰々しいタイトルを付けてみましたが、単に私がもの知らずだということを晒しているだけですので、気を楽にしてご覧ください。

本題の前に。反響が多かったhttp://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20060605/1149519446だけど、もう一度考え直してみたら、「著作権に関する明確なルール」が成立している社会では、同人誌文化は成り立たない事を認識した。つまり、日本の同人誌文化を発展を支えていたのは「権利者の恣意的なルール運用」にあるのではないかと。先日のエントリーでは、理想論に偏りすぎていたかもしれない。この辺りを煮詰めて、明日のエントリーで書いてみようと思う。


さて本題。発端は、Wikipediaキャシャーンを調べていた*1時だった。で、以下のような記述を見つけた。

本作の仮タイトルは『ネオロイダー』だったが、読売広告社の松山貫之専務のアイデアで『新造人間キャシャーン』となった。
新造人間キャシャーン - Wikipedia


読売広告社といえば、広告代理店。アニメ会社とも放送局とも関係のない人が、番組タイトルを変えるほどの影響力を持っていたのかと思い、ちょっと調べてみた。この松山氏という方は、タツノコプロと関係が深いらしく、たとえばガッチャマンのタイトルを考えたのも松山氏らしいし、ゼンダライオンの歌や、おだてブタの作詞をしたのも松山氏らしい*2


また、以下の様なエピソードもある。アニメや特撮番組には広告代理店も大きく関わっているらしい。スタッフやアニメ制作会社、テレビ局がアニメとどのように関わっているかは語られているが、それらに比べると、広告代理店とアニメとの関係は語られていないように思う。確かに広告代理店はスポンサーとテレビ局とアニメ会社の間を取り持っているのだろうから、アニメの実企画とも関わりが深い*3のは当たり前なのだが。

結局、この『アタックNO.1』は、視聴率で『柔道一直線』を抜きはしなかったものの、ピタリと並ぶ ところまでいった。敵ながらあっぱれと感心した平山氏は、後になってこの『アタッ クNO.1』を企画した読売広告社の内間稔氏とコンビを組んで、日曜朝9時台という、それまで捨て時間帯であった時刻に『ロボット8ちゃん』をぶつけるという冒険 を行い、これが突破口、次なる『ペットントン』が20%の視聴率を獲得するブレイク作品となって、土日の朝が変身ヒーローものやアニメの定番時間帯として定着することになる。
http://www.tobunken.com/olddiary/old2004_02.html


広告代理店は一般のアニメファンからは「[スポンサーからアニメ会社に渡る金を搾取している存在」とか思われており、基本的には嫌われている存在である。広告代理店 アニメ 搾取 - Google 検索で検索してみると、うんざりするほど引っかかる。その見方を否定する気はない。それにも一面の真実があるだろう。しかし、その見方はあくまで一方的なものにすぎないのでないかとも思う。極論を言えば、どんな役割を果たしているのかを知らない連中が、広告代理店を叩いているのではないかと思うわけである。あくまで私に関しての話だが、アニメ制作において広告代理店がどのように関わってきたのか、勉強し直す必要があるように思った。

最後に、広告代理店とて楽な商売ではない事を実感する記事を見つけたので、紹介する。

通常は広告代理店がその枠を買いきる形が一般的だ。例えば、電通やADKはタイム枠を買い切り、テレビ局にその料金を支払う。テレビ局は営業なしにその金額を保証されるから楽だ。広告代理店は、スポンサー、原作者(出版社)、制作プロダクションとの間を調整をしながらアニメを制作し、テレビ局に持ち込むとともに、買い切った枠の値段以上の料金をスポンサーから貰うことになるが、スポンサーを開拓できないと赤字になってしまう。ADKは昨年、テレビ東京の買い切り枠をかなり増やしたがスポンサーをつけることができず、担当役員が責任をとって辞任した。
http://www.janjan.jp/business/0304153001/1.php

*1:キャシャーンとザンボット3の類似性、富野監督と、笹川ひろしさんの関係が知りたくなったので

*2:単にタツノコの上層部と、松山氏との間に個人的な親交があっただけかもしれない

*3:例に出したのがいずれもやや古く、現状にそのまま当てはめていいのかとも思うが