フロントだけの問題でも

今年柏とヴェルディがこれだけ主力選手を放出せざるをえなかった理由の一つに「フロントへの不信感」が有ったという話をよく聞きました。頑張ってるベテランを、「年俸が高い」と言って切る。チームのビジョンを聞いてもキチンと対応してくれない。J2落ちはトリガーにしかすぎなくて、そういう不満が日頃から蓄積されていた、それがたまたま爆発したのではないかと。
-O lunatico amou futebol- 西中島南方のセレッソ狂乱観戦記: うちのフロントってどうなの?

この文章をトリガーにして書いてみる。

何かとサッカー界を騒がしているヴェルディの大量移籍なんだが、「フロントへの不信感」は、原因の一つかも知れないけど、全てではないと思う。もっと言えば、主因でもないのではないかと思う。

今回、ヴェルディが戦力外にしたのは林、米山であり、移籍したのは山田卓、小林慶、小林大、戸田、相馬である。さて、この中で、共通項でくくれる選手が何人かいる。林、米山、山田卓、小林慶の4人である。

上に上げた四人は、いずれも桐蔭学園出身者であり、駒澤大学出身者でもある。そして、ヴェルディから読売新聞が撤退し、ラモス・カズ・柱谷が抜けた後に主力になったメンバーである。付け加えておけば、読売撤退時に総監督を引き受けたのが彼ら四人の恩師である李国秀*1である。読売撤退以降、チームを作り上げたのは李総監督であり、チームを支えてきたのは彼ら四人である。よくも悪くも、東京ヴェルディの体質を作り上げてきたのは彼らである。

以上を考えると、一つの事が見えてくる。つまり、東京ヴェルディはいわば「桐蔭組」が作り上げてきたチームである。七年間、桐蔭組が屋台骨となってきたが、降格した。そこで、フロントは林や米山を切ることで、体質の改善を図ろうとしたのでないか。確かに、彼らが作り上げてきたチームであるわけだし、どこかに問題があるはずだ。血を入れ替えようとする気持ちはよく分かる。

そして、その行為が桐蔭組の心を逆撫でした気持ちもよく分かる。この七年の間、ヴェルディは彼ら桐蔭組の所有物だった訳である。桐蔭組からすれば、自分たちの持ち物が、得体の知れない連中に乗っ取られると思えるであろう。彼らが、他人のものとなったヴェルディに、未練がないことは容易に想像出来るのである。

七年前、経営危機により、読売色が消えて桐蔭色となった。そして今年、J2降格により桐蔭色が消えて読売色となった。月日は巡るのである。

*1:さらに言えば、小林大、戸田も李国秀の教え子である。偶然かどうかは知らないが、今回移籍した五人のうち四人に関わっているわけである