公取のJASRACに対する排除命令


公取の排除措置命令書を読んでみたけど、違和感を覚える。

放送等利用割合(当該放送事業者が放送番組(放送事業者が自らの放送のために制作したコマーシャルを含む。)において利用した音楽著作物の総数に占める社団法人日本音楽著作権協会著作権を管理する音楽著作物の割合をいう。)が当該放送等使用料に反映されないような方法を採用することにより,当該放送事業者が他の管理事業者にも放送等使用料を支払う場合には,当該放送事業者が負担する放送等使用料の総額がその分だけ増加することとなるようにしている行為を取りやめなければならない。
社団法人日本音楽著作権協会に対する排除措置命令について

当該放送事業者が他の管理事業者にも放送等使用料を支払う場合には、当該放送事業者が負担する放送等使用料の総額がその分だけ増加する」って批判しているけど、これは当たり前の事じゃないかなあ。他の管理会社の曲を使いたい場合には、他の管理会社に対して契約し、利用料をきちんと支払って使用すればいいわけで、他の管理会社の曲を使う分は、JASRACに対する使用料を減らすというのは筋が通らない印象を受ける。

本質的な原因は追加負担をいやがる放送局にあるわけで、基本的には今回の件は放送局とイーライセンスの問題であり、問題の解決をJASRACに求めるというのはおかしいのではないだろうか。



もっとも、公取の立場も分からなくはない。イーライセンスとエイベックスの様な事態が発生した以上、看過するにも行かないのだろうが、本当にそれでいいのかなとも思う。

今回の件、JASRAC公取の命令通りに行うためには、以下のような条件が必要になってくる。

  1. JASRACとイーライセンスは協議し「放送局の放送等使用料の総額」が変わらないように、使用料を設定する
  2. JASRACと各放送局は契約を交わし直し「使用実績に応じた額のみをJASRACが受け取る」様にする
  3. 放送局は全番組の全曲をカウントし、JASRACに全管理会社毎の使用曲数を提出する
  4. 放送局はJASRACに対し放送使用料を全額払い込み、JASRACが各管理会社に分配する


本来は業界ぐるみで行うべき事ではあるが、公取JASRACに対して排除命令を出した以上、JASRACが中心となって上のようなことを推進しなければならないのだろう。