危機からの脱出「クウェートからの脱出」

ESCAPE! VALLEY GIRL IN KUWAIT
Film Roos,Inc. 1999


原題からも分かるとおり、女性のクウェートからの脱出物語。フセイン大統領の命令の下、イラクの占領下に置かれたクウェート。そこに滞在していた一人のアメリカ人女性と、仲間達の脱出を描いた番組。

まず思ったのが、ある程度の軍事力は必要なんだなって事。もちろん戦争反対ではあるのだが、軍事力のない国は見下されるだけなんですね。見下されるだけならいいんだけど、相手が舐めてかかっちゃって本当に戦争を起こされると悲惨な事になる。無益な戦争を防ぐためにも、軍事力は必要なんだって事を思った。

イラク侵攻前のクウェートの様子がナレーターの口から語られるのだが。

その豊かさは度を超えていた。医療費は無料で生活費の負担は低かった。また外国人は特別な恩恵があったので、ミシェル(主人公)はアメリカでは得られない長い休暇や、贅沢を楽しんだ。

このように豊かな国がとなりにあって、なおかつまともな軍備もないと言うのでは、独裁者としては侵攻したくなるのはよく分かる。軍事力がないからと言って、戦争が無くなるわけではないんだろうね。



もう一つ思ったのだが、脱出も結局は運なのかな。ミシェルは当時、数人の、同じような境遇の外国人と住んでいたわけだが、ミシェル以外の人間は脱出に難色を示す。他の外国人は「脱出はどうせ無理だ」と諦めていたのだ。しかし、モハメドというイラク人とイギリス人のハーフに脱出を誘われ、ミシェルは即座にOKする。他にオーストラリア人の夫婦も脱出に加わる。

これだけだったら「ミシェルすごい、意志が強い」となるわけなんだが、脱出の詳細を知るにつれて、orzと言う感じになった。脱出に際して、なんと磁石をもってなかったのだ。砂漠を越えるのに、磁石を持たないと言うのはあまりにも無謀だと思うんだけど、それでも脱出に成功するのだから世の中は面白い。

ただ、偶然の要素が強すぎるようにも思うなぁ。先日感想を書いた「無人地帯」もそうなんだけど、思いつきで脱出して、幸運に助けられましたってパターンだよね。これはこれで面白いけど、本人の知恵や知識や平時の備えが生かされているような脱出劇も観てみたい。