アニメ声優側の勝訴確定 「声の使用料」めぐる訴訟

厳密には著作権問題ではないのだが。

1、2審判決によると、ビデオ化で声優に支払われる出演料は、声優団体と音声会社団体が結んだ覚書の添付表に1986年以降、明記されていたが、制作会社側は「合意はない」と支払いを拒否していた。

概要はリンク先を観て頂きたいのだけど、争点は著作権問題ではない事は引用した文章を観れば一目瞭然。声優さんは団体を作り、アニメ会社と二次使用料に関しての契約(覚え書き)を結んでいた訳であるが、日本アニメーションというアニメ会社がその契約を守らなかっただけの話である。それでもって、声優さんは日本アニメーションを契約違反で訴えた。その結果、日本アニメーションが負けたという判決である。妥当な判決だと思う。

今回の件で注目したいのは、声優さんが自分たちで団体を作り、アニメ会社と交渉した事である。自分たちで団体を作りという表現はやや不適切だな。

日本俳優連合というのは、森繁久弥さんが理事長をしている、やはり事業協同組合です。テレビ、映画、芝居などに顔を出す俳優さんのグループと、声優さんのグループに分かれています。外画動画部会は声優さんの組織で、約1200人、組織率は95%と非常に高いというのが特徴です。
ワーカーズコープアスラン:ニュース*1

どのような歴史的経過でこのような協定を結べたのかというと、やはり交渉とストライキなのです。組織率が高いですから、団結して「出演拒否も辞さず」ということをやられると、アニメーションも外国映画も吹き替えできなくなる。一方、交渉は非常に柔軟で、話し合いによって問題解決をはかる努力をしています。力関係を見ながら、したたかに対応しています。
ワーカーズコープアスラン:ニュース*2

現在、俳優の著作隣接権には氏名表示権が認められているものの、報酬請求権は認められていない。それにも関わらず声優さん達が二次使用料をもらえるのはなぜかというと、会社側と契約を結んだからなのだ。著作権による保護がなくても、双方の間で契約が交わされていれば何も問題はない。個々の声優さんたちは力が弱いかも知れないけど、1200人が一致団結したことで放送局やアニメ会社を動かすほどの力を身につけた。最終的に、会社と契約を結ぶことに成功したわけだ。

CCCDコピーワンスなど、近年は著作権者の権利ばかり強化される一方、利用者側の権利は徐々に弱くなってくる。憤っている方も多いと思うが、そう言う方達が集まって組織を作ったという話はあまり聞かない*3。自分たちの要求を通したいのなら、団体を結成するべきではないだろうか。

数は力なのだ。

*1:http://www.aslan-w-co-op.com/news.htm

*2:同上

*3:CCCDに関してはネットで大きな運動が起こったが