3・4話

#3 鐘は13鳴った
BIG BEN STRIKES AGAIN

核装置輸送車が暴走すると同時刻、ミステロンがロンドンを壊滅させると予告してきた。核装置輸送車もミステロンが関与していると推測したスペクトラムは総力を挙げて輸送車の発見に努めるが、捜索は難航する。一方、ミステロンに操られた輸送車は地下駐車場に辿り着き、なんと核装置の軌道装置が動作してしまう。連れてこられた運転手は駐車場から脱出を計ろうとするが、輸送車の運転手はミステロンに気絶させられ、路上へと放り出されてしまう。そこへ現れるキャプテンスカーレット。運転手を救出し、スペクトラム本部へと連行し、事情聴取を行った。運転手の証言にも決定的なものはなかったが、ブルー大尉が「ビッグベンの鐘が十三回鳴った」という証言から、輸送車の場所を特定する事に成功。キャプテンスカーレットがケガを負いながらも輸送車を安全な場所へと移動した。ロンドンはミステロンの魔の手から救い出されたのだ。

推理小説的な面白さがあるね。名探偵ブルー大尉に、助手のキャプテンスカーレットって感じ。

ブルー大尉がビッグベンの鐘の謎を解くことで、ロンドンは救われた訳なのだが、これって普通は主人公の役割じゃないのかな。「さっぱり分からんな」ってのは主人公の言う台詞ではないだろう……。今のところ、キャプテンスカーレットは不死身以外に能力を発揮していないような気がする。

ミステロンは恐ろしい存在として描かれてはいるのだが、毎回毎回予告をして、それから地球人に対する復讐活動を行っているんだよね。なんとも人のいい宇宙人というか。

冒頭、核装置輸送車の護衛に付く、警備員の会話

A「全く大変な仕事だな。原爆を運搬するっていうのは」
B「原爆じゃないぞ。平和利用のための核装置だ」
A「同じようなもんさ。万一爆発したら街が吹き飛んでしまう」
B「何を言う。爆発する訳がない」

技術に対する批判を込めてますな。いかにもジェリー・アンダーソンってシーン。「平和利用のための核装置」も「原爆」も同じようなものと言い切ってしまう。この科学に対するクールな視点が、アンダーソンが評価される所以でしょうね。


#4 ブラック大尉を探せ
MANHUNT

原子力センターに潜入したミステロン・エージェント、ブラック大尉だが警備員に見つかるというミスを犯し、さらに、衣服にアイソトープを付着してしまうと言うミスを犯す。スペクトラムは早速ガイガーカウンターを搭載した科学探知車でブラック大尉の追跡を開始する。ブラック大尉はスペクトラムの情報員をロボット化し、キャプテンスカーレットとブルー大尉を罠に掛けようとするが、キャプテンスカーレットは見事にその罠を見抜く。ブラック大尉は追跡戦闘車で逃げ出し、シンフォニー・エンゼルを人質に取り、原子力センターへと戻る。原子力センターでは放射線が多いので、ガイガーカウンターではブラック大尉の場所を特定することが出来ない。手をこまねいているスペクトラム隊員。ブラック大尉はシンフォニー・エンゼルをおとりに使うことで、無事ブラック大尉はスペクトラムの包囲網から脱出することに成功する。

人間描写が豊かになってきた感じ。スタッフも段々キャラクターを掴んできたのかな。

アイソトープが付着しているから、ガイガーカウンターで追跡しようって辺りがSFSFしている。ま、アイソトープガイガーカウンターも普通に使用されているものだし、あまりSFって感じでもないんだけど、どことなくSFマインドを感じる。日本ではあまりお目にかかれない種類の話かな。包囲網をきちんと敷いて、ブラック大尉を追跡するという辺りも、リアリティを感じる。

ブルー大尉にお株を奪われっぱなしのキャプテンスカーレットだけど、情報員がロボットという事を見抜いたのはお見事。「身分証明書の提出を求めなかったから」ロボットだと見抜いたってのは、なかなか鋭いね。

シンフォニー・エンゼルはブルー大尉と恋仲なんだろうか。シンフォニーが捕まったと知った時、ブルー大尉が苦悩しているシーンでは、人間味が良く出ていますね。

スカーレット「大丈夫、シンフォニーは必ず救い出す。ブルー大尉」
ブルー「心配はしていないさ」
スカーレット「ブラックの放射能はあと24時間消えないから見つかるよ。しっかりしろ」
ブルー「俺が心配していたなんて大佐には言うなよ」
スカーレット「その辺は心得てるよ」

ブルー大尉の人間らしさと、キャプテンスカーレットのこれまた人の良さが現れていると思う。そして、二人は本当に仲が良いんだなと思われてくれますな。

さて、人間らしいと言えば恐怖の存在ミステロンも忘れてはいけない。原子力センターの中で、ブラック大尉はシンフォニーに強力な放射線を浴びせて殺そうとする。徐々に放射線レベルを上げ、最後はMAXにしたとたん「ミステロンにも哀れみの気持ちはある。一度だけ逃げるチャンスを与えてやる」と言い、シンフォニーを逃がすんだけど、それが恐怖の存在の言う台詞かと。ま、ブラック大尉を逃がすための囮にするため、放射線を使ってシンフォニーにマーキングした上に、シンフォニーを脅し自分たちの意図通りに働かせたって事で、ミステロンの作戦勝ちなんでしょうな。