経団連の著作権管理システム

http://www.asahi.com/culture/update/0714/001.html

経団連は、ネット上につくる専用サイトでのシステム運営を検討している。テレビ番組や映画、ゲームなどの作品をデータベースに登録。ネット上に流すなどして再利用したい場合、出演者や原作者など権利をもつ関係者を検索する。作品名だけでなく、俳優や作家名からも作品を検索できるようにする。

面白いシステムだね。

このシステムとJASRACとを重ね合わせている人が多いみたいだけど、記事を観る限りでは、著作権管理は行わないみたいだね。自ら著作権を持ち、自ら管理するJASRACとは別物じゃないのかな。例えるとすると、著作権Yahoo!オークションと言う方がふさわしいように思う。。Yahoo!オークションは、ものを売りたい人間と、ものを買いたい人間が集まっていて、取引はこの二者の間で行われる。Yahoo!は取引の当事者ではなく、場を提供するだけにとどまっている。

経団連のシステムも、恐らく同じ種類のものになるんじゃないのかな。つまり、権利を売りたい「権利者」と、権利を買いたい「利用者」が集まる場を経団連が提供するという訳。経団連は権利を持っているわけではなく、許諾には関わらない。あくまでもデータベース整備と、あと課金しシステムの構築かな。権利者の方はどんな権利を持っているか、どのような条件で許諾するかをデータベースに登録し、利用者と条件がまとまれば契約成立。

今は個人と会社が著作権の使用に対してやり取りすることは不可能に近い*1が、このシステムが整備されれば、いずれは可能になるかも知れないね。素人の著作権を会社が購入したり、会社の著作権を個人が購入したり、色々と夢が膨らんでくる。

経団連のシステムを使うことでコンテンツの売買が活発になれば、日本のコンテンツ業界がさらに儲かりそうだ。私はアニメファンなので、アニメ会社が潤うことに繋がる事を望む。

ところで、岡本薫氏の著作権の考え方 (岩波新書)に、このシステムと似たようなシステムが提案されていた。私が上で書いてあったようなことをすでに書いている。と言うよりは、無意識のうちに私の頭の中にすり込まれていたと考える方が正しいだろう。岡本薫恐るべし、と言ってみる。

「出会い系サイト」は、出会いたいが出会えない「N対N」の人びとを出会わせているわけだが、このビジネスモデルは、出会いたいが出会えない「N対N」の権利者・利用者についても応用できるはずである。例えば、「バーチャル市場(いちば)」としてのサイトを設け、「写真」などのコンテンツについて、自分の作品を売り出したい人がサンプルをアップロードして利用料などの条件も自分で設定・表示する。それを使いたい人はサイト上で必要なものを検索し、ネット上で交渉・契約する。これなら自分で利用料を設定でき、売れなければ値下げすればよいのだから、マーケット・メカニズムが機能する。

著作権の考え方 (岩波新書)

著作権の考え方 (岩波新書)

*1:JASRACをのぞく