13・14話

#13 大爆発
FIRE AT 15 RIG

スペクトラムの特殊オイルを採掘中の第15採油所が何者かの手によって爆破された。ミステロンはスペクトラムに対し「スペクトラムを身動きできなくする」と謎めいた予告を行う。スペクトラムの車両や航空機は特殊なオクタン価の高い特殊な燃料を使用しており、供給が絶たれたらスペクトラムは活動が出来なくなってしまう。スペクトラムの燃料を供給しているのは、超音波油田とベンシーバー製油所であり、ミステロンはそれらの破壊を狙っているのであった。。直ちにキャプテンスカーレットとブルー大尉は、ひとまず炎上を続けている第15採油所へ向かった。採油所では、油井火災の専門家であるジェイソンの手により消火作業が行われていた。見事に採油所の消火に成功したジェイソンであったが、消火の最中、ミステロンのロボットにされてしまう。ジェイソンのトラックには油田を消火するため、ありとあらゆる爆薬が満載しており、ミステロンはその爆薬を使って、ベンシーバー製油所を爆破させるつもりなのだ。採油所の後かたづけの最中、ジェイソンの死体が発見され、ジェイソンがミステロンであることに気付いたキャプテンスカーレットPSV*1で追跡を開始する。PSVはジェイソンのトラックに追いつくが、ベンシーバー製油所はすでに目前に迫っていた。キャプテンスカーレットは特攻を決断し、PSVを激突させる事でトラックを阻止しようと試みた。何度かの小競り合いの後、ついにトラックは横転し、PSVと共に爆発炎上する。キャプテンスカーレットの活躍によって、ベンシーバー製油所は守られたのであった。

正面からの攻撃ばかりでなく、からめ手からの攻撃もぬかりなく行うミステロン。確かに燃料の供給を絶てばスペクトラムは窮地に陥り、身動きが取れなくなるのは道理。スペクトラムの攻撃さえ阻止すれば、ミステロンはたやすく、赤子の手をひねるように地球人に復讐することが出来る。実に道理にかなっている作戦。

そして、その作戦を支えているのが「スペクトラムは特殊な燃料を用いている」という設定。スペクトラムは特殊な自動車や特殊な航空機を使っており、特殊燃料を使うのは確かに自然である。そして、特殊燃料は、普通の燃料より供給を絶つのが簡単である。リスクの分散という考え方に立てば、確かにスペクトラムが特殊燃料を使っているのは問題がある。しかし、高性能とのトレードオフを考えた結果、特殊燃料を用いたと言うことなのかな。しかし、専用の製油所まで持っているとは恐るべしスペクトラム。一体どれほどの規模の組織なんだろう。

トラックを阻止する過程で、キャプテンスカーレットが登場するPSVが炎上した。久々にキャプテンスカーレットが不死身能力を発揮して満足満足。この他でも、キャプテンは終始リーダーシップを取っていて、ブルー大尉の出る幕なし。やれば出来るじゃん、スカーレット。

ラストシーン、スカーレットの遺体がスペクトラムに到着する際のホワイト大佐の台詞。

ホワイト大佐「ドクターフォン、大切な患者が着いたぞ。君のお得意さんだ。出来るだけ手厚く看護するように。スペクトラムの恩人だ。すぐに元通り元気になることは間違いないが。よろしく頼むぞ、いつものように」

普段は厳しいホワイト大佐だけど、内心は部下を思いやる気持ちで一杯のようですな。

冒頭のナレーションは前回と変化なし。



#14 にせミステロン現る
THE HEART OF NEWYORK

スペクトラム機密金庫に忍び寄る三つの人影。彼らは泥棒であり、警備員をガスで気絶させ、秘密金庫の中身を奪うことに成功する。しかし、秘密金庫にはお金や宝石は入ってなく、代わりにスペクトラムの書類やマイクロフィルムが入っていた。機密なものではあるが、泥棒には全く意味のないものだ。がっかりする三人であるが、リーダーは文書からミステロンの破壊と再生の秘密を理解する。リーダーはこれを利用して、ニューヨークの心臓と言われる、第二国立銀行の金庫室への侵入を計画する。時同じく、ミステロンはスペクトラムに対し、ニューヨークの心臓を破壊すると予告してきた。ニューヨークから住民を避難させ、検問を張って外部からの流入を防ぐスペクトラム。一方、泥棒はまず車に人形を載せ、自分たちをミステロンだと誤解させ、第二国立銀行を爆破すると予告した。スペクトラムは、ミステロンが第二銀行の爆破は必至だと考え、キャプテンスカーレットとブルー大尉を検問所まで避難させた。一方、泥棒は検問所を楽々突破し、*2警備の薄い第二国立銀行の金庫室への進入に成功する。しかし、そこに現れたのがブラック大尉。泥棒を金庫室へ閉じこめ、プラスチック爆弾*3で三人もろとも第二国立銀行を破壊しようとするつもりなのだ。一方、第二国立銀行へ急行するキャプテンスカーレットとブルー大尉だが、爆弾を仕掛け、銀行から逃走するブラック大尉の追跡を行った。スカーレットはブラック大尉を後一歩の所まで追いつめたのだが、ミステロンの力によってブラック大尉は車に乗ったまま姿を消し、第二国立銀行はとうとう破壊された。ミステロンの予言は成就したのであった。

今回もスペクトラムが出し抜かれ、ミステロンが勝利するという苦い話。にも関わらず、どこかしら爽快感があるのは泥棒が死んだからかな。泥棒には悪いのだが、正直自業自得だと思ってしまう。

でも、泥棒は泥棒で頭の回転が凄く速い。スペクトラムの書類を読み、ミステロンの破壊と再生の秘密をふまえた上で、金庫室に進入する計画を立てるとは素晴らしい。人形を利用して、自分たちが死んだと見せかけ、ミステロンのロボットにされたと思わせるとは見事という他はないね。ミステロンをよく知っている人ほどだまされそうな作戦だ。


ミステロンの予告と、ラストシーンのホワイト大佐の台詞を紹介する。対照的であり、なかなか考えさせるものがある。

ミステロン「地球人よよく聞け。われわれはミステロンだ。お前たち地球人は仲間同士で盗み合ったり、殺し合ったりして喜んでいる馬鹿な生物だ。今度は、それを利用してニューヨークの心臓を破壊してやる」

ホワイト大佐「あの三人の行為は許せないとは言え、根は善人だったと信じたい。我々は人間の善を信じて、人類を守るため、あくまで戦い続けるのだ」

冒頭のナレーションは、10話と同じ。

*1:追跡戦闘車

*2:スペクトラムはミステロン探知機で監視しているが、泥棒はにせミステロンなため探知機に反応しない

*3:三人が金庫室の壁を破壊するために使用した