11・12話

#11 ミステロン探知機を出せ!
SPECTRAM STRIKE BACK

キャプテンスカーレットとブルー大尉、そしてホワイト大佐はスペクトラム情報部の秘密会議に参加するために、ハンティング・ロッジへと向かった。世界政府大統領をはじめとする、スペクトラムの最高首脳部が全員そろったところで、ロッジは地下へリフトダウンし、会議のメンバーを下ろし、再び地上へと戻る。地下の秘密会議室で、スペクトラム技術陣が開発した二つの新兵器のお披露目が行われた。ミステロン探知機とミステロンガンだ。ミステロンガンは、高圧電流を発しミステロンを殺すためのガンである。また、ミステロン探知機は、X線を利用して対象の人間がミステロンかどうかを判別することが出来る。地下室から、インディゴ大尉に連絡を取り、ミステロン探知機を持ってこさせようとしたところに現れたブラック大尉。インディゴ大尉を殺害し、ミステロンのロボットに仕立て上げた。ロボット化されたインディゴ大尉は、ミステロン探知機を持って下へと向かう。しかし、大統領が偶然ミステロン探知機をインディゴ大尉に向けたため、インディゴ大尉がミステロンだと言うことが判明してしまう。インディゴ大尉は慌てて地上へ向かい、ロッジをリフトダウンして逃走した。リフトダウンを止めるためにはキーが必要だが、キーはインディゴ大尉の手中にある。地下の会議室に迫るハンティング・ロッジ。スペクトラム最高首脳陣の命が危機にさらされるが、キャプテンスカーレットのミステロンガンによりインディゴ大尉は死んだ。キーを取り返したキャプテンスカーレットは、ハンティング・ロッジを戻すことに成功した。

と、あらすじを書いてみたものの、正直駄作な回だと思う。ストーリーが一本道なのは良いとしても、インディゴ大尉にミステロン探知機を持ってこさせるってのは無意味じゃないかな。ミステロンガンは会議の席にあるわけだから、ミステロン探知機もあらかじめ会議に持って行くべきでしょう。話の持って行き方に無理があるよ。

で、ミステロン探知機とミステロンガン。これもどうかと。ミステロン探知機は、ミステロンがX線に写らない性質を利用して、ストロボの様にX線を当てて相手がミステロンかどうかを判別する装置なんだけど。普通の人の場合は人間の頭蓋骨が写って、キャプテンスカーレットの様なミステロンの影響下にある人の場合はカメラみたいに人間の顔が写る。……X線はそう言うものじゃないだろうと。

ミステロンガンは、不死身のミステロンを確実にしとめるための武器、なんだけど。確かに、今回のインディゴ大尉の場合は、拳銃の弾丸を食らっても死なず、ミステロンガンでなければしとめられなかった。でも、一、二話を見る限りでは、キャプテンスカーレットの不死身能力は、ミステロン自身も予期していていなかったはずなんだが。

ちなみに、ミステロンガンもミステロン探知機も射程距離は50m。

ただし、ミステロンが高圧電流に弱いという話も、ミステロンがX線に写らないという話も、四話できちんとネタを振っていた。前の話で張っていた伏線を今回の話できちんと回収しているので、物語に奥行きが出てくる。このあたり、きちんと評価するべき点だと思う。

ラストシーン

大統領「それはそうとホワイト大尉、狩りは面白かったか。
ホワイト大佐「最高でした」
大統領「それはよかった。私もアヒルを一羽捕ったよ」
ホワイト大佐「おや、狩りに行かれたんですか」
大統領「狩りとは言ってないよ。これさ」
大統領が差し出したのはアヒルのX線写真
ホワイト大佐「このアヒルはミステロンじゃないって訳だ」
一同「ハハハハハ」

いやぁ、微妙なユーモア。いかにもイギリスらしいユーモアですな。


冒頭のナレーション、いつもの

キャプテンスカーレットは不死身だが、君は違う。
決して真似をしないように

に戻っていた。どういう事でしょう。



#12 ミニ衛星をとばせ
SHADOW OF FEAR

スペクトラムは火星に探査機を軟着陸させ、火星表面の写真を地球へと電送する計画を進めていた。しかし、写真電送のわずか二秒前に、衛星はミステロンに発見され、破壊されてしまう。第一次計画は失敗に終わるが、それはスペクトラムも予測していた事だった。すぐさまスペクトラムは第二次計画を実行する。それは剣作戦と呼ばれ、ミニ衛星を飛ばし、火星の衛星に隠れながら飛行し、火星を直接狙わず、フォボスに軟着陸させる。フォボスの表面から火星のクローズアップ写真を撮ろうという計画だ。ミニ衛星は無事に着陸し、フォボスの影に隠れながら火星の地表の写真を撮り続ける。ミニ衛星から写真が電送されるのは、午前三時。それを心待ちにするスペクトラムの面々であるが、ミステロンも手をこまねいているわけではなかった。望遠鏡で火星をのぞいていたグレッグ博士であるが、急に火星が明るく輝きだし、博士はミステロンによってロボットにされてしまう。ミステロンは観測基地の方向転回装置に強力な爆薬を仕掛け、観測基地の爆破を狙っていたのであった。一方、キャプテンスカーレットとブルー大尉は、行方不明となったグレッグ博士の探索を開始した。スペクトラムヘリコプターの活躍により、グレッグ博士の居場所が突き止められた。急行するキャプテンとブルー大尉。博士との銃撃戦には勝利したものの、時すでに遅かった。衛星からの電波を受信するためにアンテナを回転した時、大爆発が起こった。ミステロンの思惑通り、観測基地は跡形もなく破壊されてしまった。

キャプテンスカーレットスペクトラムが、ミステロンの前に完敗した話。以前、スーパーチャンネルで観た時にこの話を偶然観て、「キャプテンスカーレットって凄い話なんだなぁ」と思ったものなんだけど、一話から見る限り、この話は別格らしい。

改めて観ても、凄い話だなぁ。グレッグ博士の口から、観測所に爆薬を仕掛けたという事を聞いて、

スカーレット「知らせないと大変だ」
ブルー「もう時間がない」
スカーレット「最後まであきらめるな」

って言っておいて、最後はあえなく観測基地ちゅどーんですよ。日本のアニメや特撮なら、絶対に助かるところなのに、キャプテンスカーレットでは観測基地は爆破され、生存者が生きている見込みもない。苦い話なんだけど、そこが何とも言えない。

スペクトラムの火星探査計画は、宇宙開発ファンとしてはたまらない。火星への軟着陸が失敗したと観るや、すぐに第二次計画を推進する。第一次計画の失敗を踏まえて、火星を直接狙わずにフォボスを狙う。ミニ衛星がフォボスへの軟着陸に備えてスピードを落とすため、方向を180度転換しロケットを噴射する。この辺りの作戦描写やメカ描写がいいね。硬質な雰囲気、宇宙空間の厳しい雰囲気がよく出ているし、細かい描写を積み重ねる事で物語に説得力を与えているんだと思う。硬質な雰囲気と言えば、観測基地が破壊された後も、フォボスから探査機が電波を発信しているシーンもよかった。何というか、大宇宙の広大さ、孤独感があふれているんだよね。

上にも書いたけど、基本的には苦い話。でも、ラストシーンの前向きなホワイト大佐に勇づけられる。

ホワイト大佐「恐怖の影か*1
グリーン少尉「どういう意味ですか」
ホワイト大佐「ギリシャ神話では、フォボスは火星の従者で、恐怖を意味していた。まさにその通りだ、火星のミステロンのために、地球はいま恐怖の影に脅えているわけだからな」
グリーン少尉「ホワイト大佐、剣作戦は今後どうするのですか」
ホワイト大佐「今さら言うまでもない。地球を守り通すために、計画通り最後まで続ける」

番組冒頭のナレーションがまた変更されていた。しかも今回は、「真似をしないように」すら変更されてしまった。どういう事だ。

地球の恐るべき敵 ミステロン
物質も人も再生する力を持つ火星の支配者だ
滅ぼさねばならない

地球を救う不死身の戦士
その名はキャプテンスカーレット

*1:原題:SHADOW OF FEAR