身につけるべきミニマム

この中で、「身につけるべきミニマムは、誰でも達成度・成果が容易に分かるように具体的に示されている必要がある」と結論づけた。さらに、「身につけるべき身体能力」を瞬発力や持久力などに分類し、それぞれ具体的な事例を示した。
http://www.asahi.com/life/update/0727/009.html

ま、当然の事ですね。子供達の体力不足をなんとかしようにも「身につけるべきミニマム」が明確でないと、なんの手も打てないわけです。

例ですから、なんでもいいのですが、取りあえず朝日新聞の「50m走8秒台」と言う数値を例に取ります。ある学校のあるクラスで、新学期に毎年50m走のテストを行ったとします。ある年では子供達の70%が基準を満たしました。次の年では子供達の50%しか基準を満たせませんでした。そのまた次の年では子供達の10%しか基準を満たせませんでした。この場合は数値目標ですが、数値で基準を決めることにより、子供達の体力不足の傾向が明らかになるわけです。

また、ミニマムが数値で示されていますので、どの程度目標に近づいたかも分かるわけです。目標がなければ人間努力はしないと思います。具体的に示されてないと、努力のしようがなく、身体能力が発達しない結果を招くとも思います。


ちなみに、賢明な朝日新聞の読者諸君はお気づきのことであると思いますが、

「50メートルを8秒台で走る」「鉄棒で逆上がりができること」。学校の体育の授業でこんな「最低基準」が定められるかもしれない。

この件は、完全に朝日新聞の「意見」です。「事実」ではありません。この辺りが日本のマスコミの嫌らしいところだと思いますが、自分の意見であるのにも関わらず、あたかも中教審がこのような事を意図していると読者に誤解させようとしています。

また、

 【中教審の専門部会が例示した「身につけているべき身体能力」】
●全力で加速したのち、数十メートルは最高スピードを維持して走る
●一定のペースで数分間以上走り続ける
●自分の体重と同じ程度のものを一定時間支えたり運んだりする
●ひざを伸ばしたまま上体を一定の深さまで曲げる
●二つ以上の泳ぎ方で一定の距離を泳ぐ
●マットや鉄棒で体を支えたり回ったりする


と記事にはありますが、中教審の議事録を見る限り、上の記事に直接該当しそうな部分はありません。強いて言えば、次の部分が該当するでしょうか。

「加速後,20〜30は最高スピードを維持できる」,「立ち幅跳びで自分の身長のパーセント位の距離を跳ぶ」,「自分と同じくらいの体重の友達を背負って移動できる」,「飛んできたボールや物の軌道を予測してよけることができる」,「転倒する際に手をついてけがを防ぐことができる」,「水に浮く・水中で腕や脚を動かして進む・水中で呼吸するのが無理せずにでき,水の中で命を守れる」,「数分は一定のペースを維持して,ゆったりと楽に走り続けられる」などといったような示し方にすべきである。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/022/05071303.htm


朝日新聞の記事とはだいぶニュアンスが異なる上に、この部所は「身につけているべき身体能力」を例示しているわけではなく、「具体的目標の示し方」を例示しているわけです。誤解なきように*1

*1:もっとも、私が誤解している可能性もある