著作権法の問題ではなく、契約の問題

テレビ東京は31日、番組のインターネット有料配信サービスを2月1日から始めると発表した。通信と放送の融合時代に、主導的地位を確立したい考え。

著作権の権利者が少なく、手続きが比較的簡単なアニメ番組を中心にネット配信する。
アニメ番組をネット配信 1日からテレビ東京


テレビ放送では、著作権の処理が煩雑なため、ネット配信が進んでいないという事がよく言われる。一方、アニメのネット配信は百花繚乱、あちこちの会社で配信が進んでいる。少なくとも、著作権法の問題ではないらしいと言うことは伝わってくる。著作権法に問題があるのなら、テレビ番組だけでなく、アニメでもネット配信が難しいはずである。しかし、現状ではアニメのネット配信が盛んである。

なぜ、状況が違うのか。権利者が少ないとあるが、それは本質的な問題ではないと思う。声優さんも、俳優さん同等の権利を持っており、テレビ番組に比べて少ないという訳ではないと思う。他に理由があるはずである。

個人的には、アニメが二次使用を前提に作られている事が大きいのではないかと思う。テレビ番組は、スポンサーからの制作費が潤沢であり、一回放送するだけで十分に元が取れた。一回放送するだけで十分だから、権利者から許諾を受ける際も「一回の放送」を前提に契約し、それ以上の使用に関しては契約してなかった。だから、ネット配信、DVDやビデオソフトの販売、スカパー!での放送など、それ以上の使用をしたい場合、契約をやり直さなければならない羽目になる。これを持って「手続きが煩雑」と放送局は言っているのである。誤解する人がいると困るので、一応言っておくけど、DVDやビデオソフトが販売されている番組は、ネット配信も問題なく行える。

一方、アニメは制作費が安く、一回放送するだけでは元が取れない。必然的に、二次使用を前提として作らざるを得ないし、権利者から許諾を受ける際も二次使用を考慮した契約をしている。だから、アニメ作品は比較的扱いやすい。アニメのDVDは大量に出ているし、スカパー!もアニメや特撮が中心である。二次使用を前提として番組を制作しているから、ネット配信も行いやすいという訳である。

「放送と通信の融合」において、著作権問題とされている物は、実は契約問題ではないかと思っているところである。