iPod課金には裏も表もありそうな話 後編

さて、ようやくタイトルに関係あるところに来た。以下の文章が、本田氏が一番言いたかったところだろう。

ところがiPodへの補償金徴収という提案は、上記見解を大幅に超える理解しがたいものだ。ご存じのようにiTunesで購入した楽曲は、何台でも好きなだけのiPodに転送できる。しかしiPodが同期できるコンピュータは1台だけ。他のコンピュータと同期させた場合、iPod内にあった楽曲は消えてしまう。加えてiTunes Music Storeで購入した楽曲は5台のコンピュータでしか扱えない。

前述のJASRACの見解と照らし合わせるならば、十分に私的録音の範囲を超えた運用を防ぐことができる。いや、その前にiTunes Music Storeで購入した楽曲料金の中には、すでに著作権料に相当する分は含まれている。そのDRMの仕組みを許容した上で、さらに機器からも別途、著作権料を徴収するというのは明らかに二重取りである
お詫び


この文章に反対するところは、ほとんどない。iPod課金の問題点がよくまとまっている文章だと言える。iPod課金反対派の最小公倍数的な意見だと言えるだろう。

個人的には、JASRACiPod課金を推進していることが、腑に落ちなかった。別に主張することは問題ないと思う。もし主張したとしても、本体価格にはほとんど反映されないだろうし、消費者の懐が痛むことはないだろう。感情的な問題を別にすれば、物理的な被害はあまりない。

何が腑に落ちなかったというと、JASRACの強硬な姿勢だ。私的録音録画補償金によってJASRACの懐に入ってくる収入は、他の著作権使用料収入に比べて、遙かに小さいパーセンテージなのである。JASRAC著作権使用料収入は千億、それに対して補償金による収入は八億円。たった0.8%。どんなに努力したところで、2%を超えることはないだろう。すずめの涙ほどのお金を徴収するのに、なぜあそこまで熱心に活動しているのかが疑問な訳であった。

しかし、どうやらこれには表がありそうだ。

その後、会食で色々と最新情報を聞き出す。私は所謂 iPod 課金には反対しているが、JasraciPod 課金を通そうとするメカニカルな理由が分かった。この問題は DRM(Digital Rights Management)にも波及する問題だし、(Jasrac の意見が正しいにしろ間違っているにしろ)裏をかいた戦略を取れば音楽版ホリエモンなんて事もやれてしまう危険性をはらんでいる。
 
が、困った事に、現状の Jasrac 評議員会や理事会では、その意味を理解できる人が(少なくとも音楽家委員には)いない。次回の評議員会で誰かに頼んで、この辺の意見を公開の場で質問してもらおうか?と考えている。
anz123.com - このウェブサイトは販売用です! - うる星やつら シンセサイザー ジェリーアンダーソン メロトロン プログレ リソースおよび情報


どうやら、JASRACの強欲がiPod課金に向かわせていると言うような、簡単な問題ではなさそうだ。作曲家の安西氏も、ある程度納得しているようだから、それなりの理由があるのだろう。非常に興味がある問題なんだが、この件に関しては、これで完結しているみたいである。

と言う訳で、小寺氏や本田氏にお願いするのであるが、このあたりの状況を取材して、記事に仕上げてもらえないだろうか。このような面白そうなネタが転がっているんだから、それを記事にしない手はないと思うんだけどなあ。