私的録音録画補償金制度に関する私見

重箱の隅を突っつくような話で申し訳ないのですが。

録音録画機材は著作権侵害の幇助にあたるので、それはメーカーが保証しなさいというのがコトの発端なのに、コピーする消費者が悪いからそこに負担させるというのは日本だけですよ。補償金問題については、まずそこからクリアにする必要があると思いますね。
対談 小寺信良×津田大介(2):私的録音録画制度に潜む問題 (3/3) - ITmedia LifeStyle

小寺さんは事も無げに書いていますけど、私的録音録画補償金は、著作権を侵害されたから徴収しているわけではないのですね。エンドユーザーは私的複製することで利益を得ている。権利者には私的複製による対価が支払われるべきである。受益者たるエンドユーザーが報酬を支払うべきである。と言う論法になってまして、別段消費者を悪者扱いしている訳でもないのです。だから、考え方としては、小寺さんの言葉をクリアしているとは言えます。言葉遊びのレベルなんですけどね。

2) ドイツ等で実施されているいわゆる報酬請求権制度とは、個々の著作権者等がその著作物等の録音・録画に対する複製の対価を請求しうる権利を基礎とする制度である。

3) 著作物等の録音・録画を行うのは、機器・機材の購入者たるエンドユーザーであるが、著作権者等が、ユーザーを把握し報酬の支払を請求することは、事実上不可能に近いこと、録音・録画機器・機材の開発普及に伴い、従前は営利的になされていた複製の領域が、私的複製の領域へ移行してしまい、著作権者等による権利行使は不可能となったことを踏まえれば、これらの機器・機材の提供者であるメーカーは、著作権者等の対価取得の実現に何らかの形で助力すべきことが、公平の観念上要請されていると考えることができる。
http://www.cric.or.jp/houkoku/h3_12/h3_12.html


個人的には、私的録音録画補償金制度には納得いかないものを感じます。と言っても、お金を支払わなければならないとか、分配方法に対する不透明さとか、JASRACむかつくとかそういうことではなく、著作権利用者の同意なしに著作権法三十条が改正されてしまったことです。利用者の同意がないと言っても、国会で法改正された訳ですので、国民は同意したことになります。ですから、国や行政をとやかく言うつもりはありませんが、利用者の声が国政に反映されなかったのが残念であるし、もっと言えば利用者から声が発せなかったのが問題だとは思います。