スクランブルと著作権法
ITmediaにIT総合情報ポータル「ITmedia」Homeと言うコラムが出ている。韓国産ケーブルテレビを取り扱っていた業者がPSE法で逮捕されたと言うことだが、法律を恣意的に運用して怖さを感じる。本来は民事でかたをつけるべきではないかと思いますが。不正競争防止法で対応できた様な気がしますが、どうなのかな。
で、小寺さんの記事で気になることが一つ。
違法CATVチューナーは、違法というだけあって違法なわけだが、どんな法律にとって違法なのかが複雑に絡み合っている。放送法にも関わるだろうし、著作権法にも関わるが、これらの法律は即効性に欠ける。つまりタレコミがあって警察が踏み込んで現場押さえて即タイホ、というような法ではないんである。
放送法でどのような取り扱いになるか知りませんが、違法CATVチューナー*1は、日本の著作権法ではストップを欠けられないはずですよ。違法チューナーを著作権法で取り扱うためには「アクセス権」と言う権利を作らなければなりません。そして、アクセス権などと言う権利は存在しません。今後は必要になるでしょうが、非常に強力な権利となることは間違いないので、国民全てを巻き込むような議論の果てに創設されることになると思います。
なぜ、著作権法では取り締まれないか、簡単に説明します。CATVは放送するときにスクランブルをかけ、チューナーでデコードしている訳です。つまり、CATVチューナーは、映像や音声に「アクセス」をしているわけです。つまり、違法CATVチューナーは無断で「アクセス」していることになる。
一方、著作権法では権利者に対して「複製権」を与えている訳です。「複製権」とは、無断で「コピー」させない権利のことです。「アクセス」と「コピー」とは別のものですから、複製権では「アクセス」することに対してストップをかけることはできません。つまり、現状では著作権法では対処の仕様がない。
仮に著作権法で「アクセス権」が認められた場合、現状では合法な、DVDコピーも違法になってしまいます。ありとあらゆるデータにスクランブルがかけられ、スクランブルを無断で解除しようとする人や、解除しようというツールが違法扱いになります。全てのコンテンツが著作者のコントロール化におかれることを意味します*2。
著作権法は強力な権利ではあるのですが、CATVの違法チューナーやDVDコピーに対しては適用することができないのです。このあたりが、著作権法の面白いところではあります。