無期懲役に関する誤解

光市の母子殺人事件、広島の幼女殺人事件のニュースを見て、日本では無期懲役が批判され、死刑が賞賛される国なんだろうなと思いを新たにした。私は格別死刑反対派と言うわけでもなく、むしろ「人から奪った命を、自分の命で購う」考え方に自然なものを感じているのであるが、無期懲役の批判のされ方にも疑問が残る。

なぜか知らないが、「無期懲役は10年くらいで出獄する」という考え方がまかり通っているようなのだが、そんなに軽い刑罰でもない。無期懲役を批判するのは構わないが、知らないで批判している人が多いのではないのかなと思うので、少し無期懲役の実態を紹介してみようかなと。と言っても、大したものでもなく、Wikipediaから引用するだけの話なのだが。

近年、無期懲役仮出獄は全般的に、厳格に運用されているとされ、平成16年度の犯罪白書によれば昭和50年代までは毎年おおむね50人以上が許可を受けていたのに対し、最近5年間では年平均9.2人となっている。また、最近10年間で仮出獄が許されたものの在所期間は最短で13年3月、最長が38年10月で、平均在所期間は21年を超え256.8月である(平成16年度犯罪白書 第5編/第5章/第2節/4(2)在所期間)。
懲役 - Wikipedia


「なんだ、平均在所期間が21年を超えているのか、意外と重い刑罰じゃないか」と早のみこみしてはいけない。仮出獄が許された者の平均受刑期間という事である。つまり、年平均9.2人に対して仮出獄が許されるが、その9.2人の平均受刑期間が21年を超えていると言うことになる。20年服役すれば出獄できると言う保証はないのだ。もちろん、終身刑のように永遠に刑務所に入る保証もないのだが、下に引用するような現状もあり、決して甘くはない刑罰だと私は思う。

なお、99年4月現在で、35年以上が上の4人を含めて23人、30年以上35年未満が17人などだった。また、45年以上の4人はいずれも強盗殺人罪などで刑が確定した男性で、城野医療刑務所北九州市)と徳島刑務所で受刑中。99年6月塊在でみると、68歳の人が50年2カ月、79歳が49年3力月、69歳が45年7力月、72歳が45年5力月に達している。
無期懲役の現状と仮出獄


さて、無期懲役の平均受刑期間を書いたが、死刑の執行数はどうなのかと思って調べてみると、Ž€ŒYŽ·sE”»Œˆ„ˆÚと言うサイトを見つけた。読む限り、ここ数年は多くて3人の方に死刑が執行されているようだ。確定数の数に比べ、明らかに少ないと言える。

死刑の終身刑化と、無期懲役終身刑化が同時に進行しているのが、我が国の実情のようである。死刑判決を受けるのと、無期懲役判決を受けるのとでは、実質的には差がなくなって来ているように思うのだが、いかがだろうか。