藤山判事異動人事に見る最高裁の考え方


個性的な判決を出すことで、一部で有名な藤山雅行東京地裁総括判事が、4月1日から東京高裁へと異動になった。出世といえるかも知れないが、藤山判事は97年にも東京高裁判事になった事があるし、今回の異動でも総括判事(いわゆる裁判長)と言うわけではないので、通常の人事異動と言えるかも知れないし、判決文に対する影響力は地裁総括判事より低下するかも知れない。地裁所長になるためのステップなのかも知れないが、それは分からない。


この、藤山判事の人事異動から、最高裁の藤山判事の評価なり考え方を推し量ろうという無謀な試みを行ってみるのが今回の趣旨。


藤山判事は、経歴を見る限りは裁判官としてもエリートコースを歩んでいるようだ。今回の東京高裁判事への異動も、エリートコースから外れているというわけではないだろう。藤山判事の独創的な判決文も、藤山判決が高裁での逆転が多いことも、藤山判事の評価の妨げにはなっていないと言う事になる。


で、今回の裁判所の人事異動だけど、裁判所の考え方は配属先によってある程度は推し量ることができると思う。そこで、東京高裁の担当裁判官一覧を観てみると、藤山判事は第10民事部に配属になるようだ。第10民事部の総括判事は吉戒修一氏。経歴を見ると、法務省の人権擁護局長から、この春に東京高裁総括判事に異動になったようだ。



吉戒修一判事の経歴を観ると、

昭和23年福岡市生まれ。昭和45年司法試験合格、昭和46年九州大学法学部卒業、昭和48年東京地裁判事補、法務大臣官房訟務部付、法務省訟務局付、横浜地裁判事、書記官研修所教官、法務省民事局第五課長、同第四課長、同参事官、東京高裁判事、東京地裁部総括判事等を経て、平成9年法務大臣官房審議官(民事局担当)、平成11年東京地裁部総括判事、平成13年1月より法務省人権擁護局長
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とあり、判事の仕事より、法務省への出向が目立つ。また、東京地裁時代も、ハンセン病東京訴訟でご活躍されていたようだ。このような裁判長の下に、藤山判事が陪席判事として異動された。なんとなく「最強2トップ」と言う言葉が私の脳裏に浮かぶのである。


これからの東京高裁第10民事部の判決に注目したい。