パンドラの箱を開けてしまった三田氏

三田氏は、宮沢賢治の例をあげて、彼が生前には1円の印税ももらえなかったが、その遺族は、松本零士氏の「銀河鉄道999」などのおかげで大きな収入があるという。しかし、これは賢治のインセンティブにならない不労所得である。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/8aeeb1fc65a7a1fd92efae3ade3f3224


著作権延長論の是非は問わないが、宮沢賢治および、宮沢賢治の遺族を例に出すのは、著作権延長論者として大きな戦略ミスではないか。と言うのは、コメントでも言及されているが、宮沢賢治著作権はとうに切れているからだ。しかし、宮沢賢治の遺族は、宮沢賢治のイメージを守るための努力を怠らない。

銀河鉄道の夜」や「注文の多い料理店」など独特の世界をつづった宮澤賢治が、昭和8年に亡くなって今年で74年になる。著作権の保護期間はすでに切れているが、遺族らは「賢治と作品のイメージが壊れないように」と、地道に守る試みを続けている。

「子孫の代まで先祖の功績に頼っている」という批判も成り立つが、和樹さんは言う。「著作権がフリーになると、人格や作品などに関係なく使われてしまう。国の法律や記念館などで守ってくれればいいが、実際は遺族や仲間で守るしかない」

Expired


三田氏は「保護期間が切れた途端に、心ない人によって思いもよらない形で作品が利用されることもある」と主張しているが、三田氏が引き合いに出している宮沢賢治の遺族は、法律を頼れなくなった後も、作品や作家のイメージを守るために活動している。

宮沢賢治の遺族が行っていることは、「作品や作家のイメージを守るためには、著作権法は必ずしも必要でない」と言っているも同じなのである。宮沢賢治を引き合いに出すと言うことは、著作権延長論の根拠の一つを、三田氏自らが否定してしまっている様に私には受け取れる。