IAEAの受け入れ拒否は本当にあったのか

朝日の記事を見ると、当初反対に回っていた政府が、世論の反発を受けて、バタバタし迷走したあげく、IAEAの調査を受け入れたように見える。

新潟県中越沖地震で、火災などトラブルが多発している東京電力柏崎刈羽原発国際原子力機関IAEA)が調査に入る意向を示したことに対し、政府が調査団の受け入れを当面見送る意向をIAEAに伝えていたことが21日、わかった。被害が甚大で受け入れる余裕がないとしている。
asahi.com:IAEAの柏崎刈羽原発調査 政府「余裕ない」と断る - 新潟県中越沖地震

経済産業省原子力安全・保安院は22日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発に、国際原子力機関IAEA)からの調査団を受け入れることを決めた。時期や方法は今後、IAEAと協議する。
asahi.com:柏崎刈羽原発のIAEA調査 政府、受け入れ決定 - 新潟県中越沖地震


読売の記事を追っていくと、印象がまるで逆になる。IAEAの調査受け入れは、最初から既定路線であり、政府の方針はいささかもぶれていないことになる。

国際原子力機関IAEA)のエルバラダイ事務局長は20日、日本政府に対し、新潟県中越沖地震でトラブルが多発した東京電力柏崎刈羽原子力発電所に対する調査に加わる用意があることを伝えた。

日本側も、受け入れを前向きに検討している。実現すれば、IAEAが調査団を日本に派遣し、経済産業省原子力安全・保安院との合同調査に入ることになりそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070721it01.htm

 経済産業省原子力安全・保安院が、きょう23日にIAEAに伝える。柏崎刈羽原発の寺沢徹哉広報部長も22日の記者会見で、「調査の申し入れがあれば、しっかりと対応し、現状を理解して頂きたい」と述べ、前向きに受け入れる意向を表明した。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070723i301.htm


真っ向から食い違う、朝日と読売だが、どちらの記事が正しいのだろうか。カギは、どうやら中国新聞が握っていたようだ。

 保安院によると、IAEAは十九日に「日本が独自の調査を行う技術的能力を有していることは承知している」としながらも「国際的に情報を共有するため日本の調査に参加したい」と文書で申し入れてきた。保安院側は「一緒に調査を行うことを歓迎する」との文書を二十日に送ったという。
地域・写真ニュース | 中国新聞アルファ

日本政府の回答は二十日に行われたようだが、中国新聞のニュースによれば、保安院が二十日に「歓迎する」と言う文書を送ったのは間違いないようだ。つまり、受け入れ拒否の話は、朝日新聞誤報の可能性が出てきたという事だ。朝日が正しいのかも知れないが、「政府の意向」という曖昧な言葉を使ったのがマイナスポイントのように個人的には思える。