広告代理店が中抜きをして何が悪い
アニメ産業に関する公文書: たけくまメモが話題になっている。基本的にアニメ業界の中抜き構造が批判されているのだが、広告代理店が中抜きをするのは当たり前じゃないかと思う。
スポンサーから1本あたり5000万出ている制作費が、なんだかんだで現場に着く頃には800万になっているそうです。
上記のようにたけくまさんは仰っている。一見正論のように思えるが、図を見る限りでは異なる解釈もできるように思う。つまり、スポンサーからお金を集めているのは広告代理店であり、アニメ会社ではないのである。また、アニメは13話から52話、うまく行けばそれ以上にわたって放送するわけだから、広告代理店はお金を払って放送枠を確保しているのではないかとの推測も容易にできる。
つまり、広告代理店は1本あたり5000万円のお金を払い、放送枠を確保する。スポンサーが集まらなかったらそれは広告代理店の赤字になる。たけくまメモに引用されている限り、広告代理店が一番のリスクを負っているのだから、それなりのリターンを得てしかるべきではないだろうか。
上記で書いた広告代理店のリスクに関しては、あくまでも私の想像である。しかし、広告代理店は実際にもかなりのリスクを背負っているようである。
通常は広告代理店がその枠を買いきる形が一般的だ。例えば、電通やADKはタイム枠を買い切り、テレビ局にその料金を支払う。テレビ局は営業なしにその金額を保証されるから楽だ。広告代理店は、スポンサー、原作者(出版社)、制作プロダクションとの間を調整をしながらアニメを制作し、テレビ局に持ち込むとともに、買い切った枠の値段以上の料金をスポンサーから貰うことになるが、スポンサーを開拓できないと赤字になってしまう。ADKは昨年、テレビ東京の買い切り枠をかなり増やしたがスポンサーをつけることができず、担当役員が責任をとって辞任した。
http://www.news.janjan.jp/business/0304153001/1.php
?テレビ番組枠の購入と回収における業績変動のリスク
当社は、株式会社アサツーディ・ケイや株式会社東急エージェンシー等の広告代理店から番組枠を購入します。購入した枠にテレビ提供スポンサーを割り当てて、購入資金を回収します。テレビ番組をビジネスの柱にしている以上、今後も番組枠の購入を続けてまいりますが、十分なテレビ提供スポンサーを確保できない場合には、番組枠購入資金の全額を回収することができず、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
平成 18 年 12 月期 中間決算短信(非連結)会社名 株式会社ウィーヴ
広告代理店がある一定のリスクを背負っているのであれば、それに応じたリターンを求めるのは当然であると思うのだが……。