私的複製の形骸化
適法配信からの私的録音録画が違法化される - picasの日記
適法配信の違法録画化によってビジネスモデルは変わるか - novtan別館
上記のサイトで「文化庁は私的複製を違法にするという意図があるのでは?」という主張がされていた。大変興味深く読まさせて頂いたが、私は文化庁にそのような意図はないと考える。つまり、デジタルコンテンツに対する私的複製は事実上認められておらず、文化庁は単に現状を追認しているだけだと考える。
極端に言えば、著作権法の改正によりDRMの解除が違法になった時点で、デジタルコンテンツにおける私的複製は死んだも同然であると考える。もちろん、DRMを掛けていないデジタルコンテンツの場合は複製できるが、複製できるか否かは権利者の判断一つであり、ユーザーの自由が失われている状態に変わりはない。
著作権法において、技術的保護手段の回避に関する法改正が行われたのは1999年。今から8年前の法改正で、DRMの解除に強い罰則が与えられた。つまり、DRMやDRMを施す権利者に、より強い権利が与えられた事になる。私的複製は権利として認められていない。強くなる一方の権利者側の権利に対して、相対的にユーザーの権利は弱くなってしまったと言える。
大体契約で私的複製OKならOKって「私的」の意味がどんどん限定的になっていっているということですね。「私」までマーケットに縛られる時代です。
適法配信の違法録画化によってビジネスモデルは変わるか - novtan別館
と仰るのはまさに正論であり、補足するならばそれが現状の姿だと思う。現状に対して、著作権法の私的複製条項が乖離してしまっているので、文化庁としては現状に沿った形で法改正を行いたいのだろう。
個人的には、法改正しようとしまいと、さしたる影響はないと思う。しかし、法改正を容認すると言うことは、現状のデジタルコンテンツにおけるDRMの法的地位、権利者の強い権利を容認する事に繋がると思う。その意味で、今回のお二方の問題提起は大きな意味合いを持つと考える。