ダウンロード違法化とフェアユース
ダウンロード違法化に関しては静観していた。違法サイトからダウンロードしたコンテンツを私的複製の範囲から外したところで実効性があるわけもないので、そんな事に労力を使う必要もないだろう。また、違法化することで懸念するべき点が広がるという事も分かる。一方、違法サイトからダウンロードしたコンテンツを私的複製と言うのも筋が通っていない*1ように思う。
結局の所、著作権法における権利制限規定が限界に来ている事が本質であり、そこを直さないことには話がゆがみ、こじれるだけの話だと思う。権利制限規定を大幅に見直し、アメリカ式のフェアユースの導入を検討するべき時期に来ているのではないだろうか。フェアユースの導入と聞いて賛同しない利用者はいないだろうし、権利者に取ってもフェアユースは悪い話ではない。ダウンロード違法化によって行う事は、フェアユースによっても行えるわけである。
どういう事かと言うと、フェアユースとは「(裁判所によって)フェアユースと認められた場合、著作権を侵害したことにはならない」事を意味する。権利者側が「これはフェアユースではない」と思ったのであれば、訴訟を起こすのは自由であるし、その場合、個別の事例に関してフェアユースかどうかを裁判所が判定することになる。「違法サイトによる海賊版コンテンツのダウンロード」を裁判所がフェアユースと判断しなかった場合、著作権の侵害となり、ダウンロード違法化と同じ効果を得られるわけである。
政府や権利者側がフェアユース規定の導入を利用者に持ちかければ、ダウンロード違法化の話がこじれる事はなかったのではないだろうか。その意味では政府・権利者側の戦略ミスと言えよう。ただ、フェアユース規定の導入*2は十年単位で時間をかけなければならない事ではあるだろうけど。