割りばし訴訟


判決自体は妥当だと思う。遺族やメディアの見解を知りたいなと思って各紙を一通り読んでみたけど、MSN産経が一番ひどいかな。反面、読売新聞の記事は淡々と事実を書いているような印象を覚える。

「どうして息子が死んだのか、ただ知りたいだけ」。事故から約9年。そんな遺族の願いはまたも閉ざされた。

「過失さえ認められず非常に残念。これまでの積み重ねを無視する判決で納得できない」。判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した隼三ちゃんの父、正雄さん(56)は悔しさをにじませた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080212/trl0802121813019-n1.htm

遺族に対して厳しい言葉を投げる事になるが、「どうして息子が死んだのか、ただ知りたい」事が目的で、遺族は訴訟を起こしたのだろう。そして、訴訟の場で「病院に過失がない事」が明らかになった訳だから、それで良いじゃないかと思ってしまう。遺族の目的は十分に果たされたことになるのではないだろうか。

それなのに「非常に残念」とか「納得できない」と言う言葉が遺族の口から出るのは、私としては疑問が残る。推測してみると、遺族の中には「息子は病院によって殺された」と言う「真実」が存在しており、その自分たちの心の中の真実*1を裁判所に認めさせることが真の目的であったのだろう。そして、真の目的が果たされなかったことで「残念」と言う言葉が出ているのではないだろうか。

つまり、遺族は真実が知りたいわけではなく、裁判所に「病院の過失」を認定して欲しいのだろうし、病院側に「過失」を認めさせたいのだろう。遺族が病院側の責任にしたいと言うのなら、私がとやかく言う事ではない。しかし、本音を語った方が、周囲はまだ納得するのではないかと思う。

*1:人によっては幻想と受け取る人もいるかも知れない