公取の排除命令がJASRACにもたらしたもの
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090207-OYT1T00030.htm
異論がある方も多いのだろうが、今回の排除命令はJASRACに対して、安定した立場をもたらしたと考えている。つまり、公正取引委員会の力を持ってしても、JASRACを解体することは不可能なのではないかなと思う。
本論の前に、包括契約に関して考察してみようと思う。はてな住民の間で、包括命令に関して公取は否定的なのではないかと思われていたようだが、私は違うと思う。公取が問題にしたのは、包括契約そのものではなく、JASRAC管理曲がどの程度存在するのか、テレビ局もJASRACも把握していないことを問題にしたのだと思う。
排除措置命令では、解消の具体的な方法には触れない方向で調整しているが、公取委では、JASRACの管理する楽曲と他の業者の管理する楽曲が放送で使用された比率を調べ、JASRACが使用料を配分する仕組みを作ることなどを想定しているとみられる。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20090207-OYT1T00030.htm
これを見る限り、JASRAC管理曲と非管理曲を明確に区別できるのであれば、包括契約を行ってもいいと受け取ることができる。そして、その際の窓口はJASRACが担当すると言うことになるだろう。
本質的には、以下の方法と同じなのではないかと考える。
解決策として当社は、「全体のストリーミング使用実績に対し、JRC管理作品の使用実績を按分計算したものを徴収額とする」という規定を打ち出した。ストリーミング番組の10曲のうち1曲だけ当社の管理曲であれば、収入の3.5%を100としたうちの10%を案分徴集する、という要領だ。
JASRAC独占、なぜ崩れないのか――JRCの荒川社長に聞く (1/3) - ITmedia NEWS
放送局に対する包括契約で得た金銭は、JASRACのもとに全て集められ、JASRACから各管理会社へと分配される。基本的には、これで問題がないという事になる。しかし、これはJASRACの独占状態を是認したことにならないだろうか。
公取がJASRACを窓口にしたという事は、実は公取が音楽著作権管理会社の現実を認識したという事ではないだろうか。本来であれば、放送局が各音楽著作権管理会社に直接お金を払うべきだと思うのだが、一音楽著作権管理会社がその役目を担うというのは少々解せないものがある。
公取がJASRACの巨大なシェアを是認しているからこそ、一音楽著作権管理会社に放送局の音楽使用料を委ねるのではないかと私は考える。つまり、JASRACの強大なシェアは今後も変わらないし、音楽著作権管理業界におけるJASRACの地位は今後も変わらない。