待て、あわてるな、これは鳩山の罠だ

鳩山発言で、ぶくまがお通夜のようになっているが、これはいささか早計ではないだろうか。
はてなブックマーク - 温室ガス25%減、鳩山代表が明言 : 環境 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


なぜならば、鳩山さんは25%削減を約束したわけではないからだ。記事を引用してみよう。

京都議定書に続く温暖化対策の枠組みを決める国際交渉は、今年12月にコペンハーゲンで開かれる気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に向けて本格化しつつあるが、先進国と途上国との対立で進展がみられない。このため鳩山代表「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の前提となる」と述べ、各国に、より積極的な削減行動を促す考えを強調した。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090907-OYT1T00586.htm

つまり、温暖化ガス25%削減を約束する前提条件として、すべての主要国が「意欲的な目標に合意」という事を挙げている。「すべての主要国」という概念が曖昧であるし、「意欲的な目標」の具体的な数値もない。つまり、鳩山さんは現時点では何も約束していないのである。「全ての主要国」を明らかにし、「意欲的な目標」が具体的なものとならなければ、温暖化ガスの25%削減は実行しないと考えるべきであろう。とすれば、鳩山さんは温暖化ガス削減までの時間稼ぎをする事を意図していると言うことになる。


普通の政治家であれば、「温暖化ガス25%削減」「鳩山イニシアチブ」を外交カードに使うだろう。京都議定書に批准していないアメリカ、削減義務がない中国に対し積極的に働きかけ、段階的な温暖化ガス削減を約束させる。発展途上国に対しては、「鳩山イニシアチブ」とやらで、資金と技術力を提供し、日本に対する協力を要請する。そして、アメリカ、中国、発展途上国とのグループを形成し、グループを背景にEUに対して外交交渉を行うだろう。


ただ、鳩山さんが友愛精神にあふれた政治家であるのなら、地球温暖化防止原理主義者である可能性が高い。その場合、アメリカや中国に対し空気を読まない外交活動を繰り返し、無用な摩擦を引き起こすことになるだろう。また、EUとの交渉もへったくれもなく温暖化ガス25%削減という目標に対して遮二無二突き進み、日本社会、日本経済を大混乱に陥れたあげく、削減に失敗し、EUから糾弾されることになるだろう。


鳩山さんがどっちの道を選ぶのか分からないが、現段階では選択の余地はある。しかし、私は鳩山さんが後者の道を選ぶように思えてならないのである。