みつどもえ 7話 「ガチで愛してしょうがない!?」


全体
みつどもえの主軸の一つである「勘違い」を前面に押し出した,ガチレンジャーのエピソードがとうとうはじまります.ひとはとクラスメート,そして,ひとはと矢部っちとの繋がりを語るためにはこのエピソードは必須ですね.ガチレンジャーがひとはの話なら,ふたばの人間関係を描くためには外せない佐藤くんが好きでしょうがない隊のエピソードもはじまりました.新たな人間関係を加え,アクセルを踏んで加速しているのが今回の話だと思います.



エピソード1

日曜の朝,掃除にいそしむひとは.テレビでは特撮番組が流れていた.くだらない番組をやっていると思い,ひとははテレビを消そうとするが,ついつい見入ってしまった.すっかりガチレンジャーのファンになってしまったひとは.誰かと語り合いたいと思っていたら,矢部っちの携帯からガチレンジャーの主題歌が! 意を決して矢部っちと語ろうとするものの,ガチレンジャーの話がパンツの話になり,パンツの話がガチレンジャーの話になってしまう,壮絶な勘違い合戦に突入するのであった.

勘違い合戦に関しては他のサイトに任せるとして,別な話をしようと思います.この話,「人が番組を好きになる」プロセスを丁寧に描写していると思うんですよ.最初は「なんだこの番組くだらない」と思いつつ,思わず見入ってしまい,終わる頃にはすっかりと番組にはまってしまう.番組にはまってしまったら誰かと楽しみを分かち合いたくなる.何というか,原作もアニメスタッフも,オタクと言われている方々の心情をよく分かっているな,よく描写しているなと思います.勘違いネタも確かに面白いんですが,勘違いネタを成立させているのは,スタッフの丁寧な仕事が土台にあると思うんですよね.


あと,ガチレンジャーは色々とガチな設定で面白かったです.「ガチナックル」「ガチスープレックス」はガチで痛そうですし,盛大に流血している.「死ぬがいい,イヌラゴン」も普通は言わないでしょう*1.なかなか,硬派なヒーローですね.


ところで,ガチレンジャーのリュックを背負いながら,「ガチレンジャーのファン」だと大きな声で言えない矢部っちの頭は,いったいどうなっているんでしょう.バレバレだと思いますが.



エピソード2

昔の写真を眺めるパパとみつばとふたば.若い頃のパパは佐藤くんそっくりだった.ふたばはパパから写真を譲り受け,肌身離さず持ち歩いたのは良いが,その写真が「佐藤くんが好きでしょうがない隊(SSS隊)」に見つかった.佐藤くんの写真だと勘違いしたSSS隊はふたばから写真を盗み出すが,それに気がついたふたばとの間で写真の争奪戦.おがちんの熱意にほだされたふたばは,ライバルと認め,写真の写り主と親睦を深めるためにお風呂に入ることを提案する.おがちんも喜んで受け入れ,パパとふたばとおがちんでお風呂に入ることになった.

この話,実は結構好きな話です.ふたばとおがちんの良いところが出ているように思うんですね.


SSS隊は「みつどもえ」最強の変態集団と言って差し支えないです.どの程度変態かというと,佐藤くんの空気を吸うだけで一日生きていけるほどです.しかし,リーダーのおがちんは変態ではありますが,骨もあります.おがちんは佐藤くんを好きなので,ふたばをライバル視しますが,健全なライバル関係です.伊藤詩織ほど,おがちんは黒いわけではないので,ふたば相手でも正々堂々と戦おうとしています.おがちんの「私をライバルとして認めるの」という台詞からも,おがちんがふたばをどの様に見ているか分かる気がします.


ふたばはふたばで,良いところを見せます.パパ大好きっ子のふたばですが,おがちんがパパの写真に執着していると分かると,こころよくそれを譲ります.そして,三人で親睦を兼ねて風呂に入らないかと提案します.ふたばもおがちんも本当に良い子たちだと思います.


実に良い話です.95%までは.ふたばに取ってはパパの写真ですが,おがちんに取っては佐藤くんの写真です.これが悲劇を生みます.しかし,娘の同級生と一緒に風呂に入る男性って,一歩間違えれば変態じゃないのかな.世のお父さんはこの様な経験をしているのか,気になるところです.



エピソード3

珍しくスカートをはくふたば.佐藤くんに自由研究を手伝って欲しいみたいです.佐藤くんが承諾するとふたばはいきなり蹴りを打ち込みます.なんの研究かと佐藤くんが聞きただすと,「パンツ見えるか研究」とのこと.ふたばは次々と佐藤くんに蹴りを打ち込みます.命からがら逃げる佐藤くん.そこに現れるSSS隊の面々.彼女らは佐藤くんを守ろうとしますが,ふたばの「しんちゃんはパンツ大好きだから,見てもらおうと」という台詞を聞いたとたん,佐藤くんを追い回す側へと立場を変えます.「パンツを見せて佐藤くんの恋人になろう」キャンペーンがはじまり,パンツを見せたがる女子生徒に追いかけ回される佐藤くん.追跡の果てに,佐藤くんは千葉氏のパンツを下ろしてしまいます.千葉氏は佐藤くんの恋人になったのでした.

ふたばがパンツを見せようと蹴りを繰り出したので,佐藤くんの髪の毛が二,三本持って行かれるわけですが,その後ふたばは「パンツ見えた」ともじもじしながら聞いてきます.佐藤くんの生命の危機と,ふたばの恥じらいが妙なコントラストを生み出しているなと思いました.視聴者視点でもふたばのスカートは新鮮であり,ふたばの恥じらいも新鮮に映るのですね.


あと,SSS隊の面々が佐藤くんにパンツを見せようとする姿が良いですね.SSS隊はふたばよりも女の子らしいので,パンツを見せる姿にも色気が漂っているわけです.伊藤詩織もこう見るとかわいいですね.あと加藤さん,スカートはともかく,短パンを脱いでパンツを見せるのは大変危険なのではないのかな.



エピソード4

放課後,ひとははクラスに一人残ります.ちょっとした誤解から変態扱いしてしまった事を謝り,そして自分がガチレンジャーの事を大好きだという事を矢部っちに伝えるために.しかし,その事をクラスメートの吉岡さんに知られてしまいます.かててくわえて,吉岡さんは,ひとはが矢部っちの事を大好きだと勘違いしてしまいます.かくして,二人の少女の勘違い合戦が幕を開けました.ひとはがガチレンジャーの事を話しているにもかかわらず,吉岡さんは矢部っちの事だと受け取ってしまうわけです.そして,ひとはが矢部っちの事を好きだという誤解が,偶然クラスを通りかかった矢部っちに伝わってしまったのでした.

恋愛レーダー吉岡さんの主役回です.恋話が大好きなので,ひとはと矢部っちの恋に興味津々なのです.ひとはの話をついつい大げさに考えてしまう辺りが,実にかわいらしいと思いました.ひとはが「(ガチレンジャーを)ビデオに撮っている」と言ったのを,「(矢部っちを)ビデオに撮っている」と勘違いして,本気で引いてしまう辺りが実にかわいいです.


あと,ひとはの描写.好きな番組で頭がいっぱいで,授業が上の空だったり,ノートに番組名を書いてしまうと言う経験は私にもあります.恐らく,多くの人が行っているのでしょう.その辺りを丁寧に描写する手腕は,さすがだなあと思います.実はノートを番組名で埋め尽くすというのは原作にはないので,アニメスタッフのオリジナルのアイデアなのだと思います.これは良い改変ではないでしょうか.

*1:鋼鉄ジーグを除く