人間は何を食べてきたか サバンナの移動漁民

人間はなにを食べてきたか 海と川の狩人たち 
第2集 サバンナの移動漁民 〜アフリカ・ニジェール川
放送日 1992.1.21


アフリカに固定概念しか持っていない私にとって、豊かなアフリカというのはちょっとしたカルチャーショックなのである。考えてみれば、アフリカと言っても広いのだから、決して全てが全て貧しいという訳でもないんだよね。

今回の話はアフリカのマリ共和国に住む、ボゾ族のお話。ボゾ族は大変な魚好きで、日本人の二倍以上も魚を食べるという。ボゾ族は基本的に魚しか捕らない。穀物はどうするのかというと、魚と交換したり、捕った魚を薫製にして市場へ売り、得たお金で購うそうである。

ボゾ族はマリ共和国を流れるニジェール川を移動し、キャンプを張りながら魚を捕る。基本的に捕った魚は薫製にするのだが、旅を続けるためには食わなければならない。捕った魚を食べたり、魚とお米を交換しながら漁を続けていく。このため、不漁が続くとキャンプを中断しなくてはならないそうだ。

ニジェール川は本来プランクトンがあまり生息しない、貧しい川らしい。その川になぜ魚が大量に生息するのかというと、牧畜民が飼う牛が糞をする。雨期になり、増水すると牛の糞が川に解け、プランクトンが増殖する。そのため、ニジェール川の魚は雨期にしか成長しないらしい。

ボゾ族の料理のレシピ。魚(基本的にはナマズ)に調味料を加えて煮込む。次に米。この地方原産のグラベリア米をグラベリア米は水分が少ないので、水を加えながら炊き、あまった汁にはビタミンなどの栄養が含まれており、それを無駄にしないため魚の鍋に入れる。仕上げに岩塩を加え、じっくりとじっくりと煮込む。煮込み終わったら、魚と煮汁をご飯に掛けてできあがり。この料理をニョーホーと言う。ニョーは魚、ホーは炊いた米。ボゾ族はこの料理を毎日毎日、昼も夜も、家でもキャンプでも食べるそうである。

なんちゅうか、ボゾ族の人々は非常に美味しそうに魚を食べるなって感じ。あまりにも幸福そうに魚を食べるので、観ているこっちまでが幸福な気持ちとなる。人間の原初の喜びというものはこういうものを言うのかな。

「人間は生きるために食べるのではない、食べるために生きるのだ」って言葉をどこかで耳にしたことがあるんだが、ボゾ族の生き方はそれを地でいっていると思うのだ。雑念なく魚を捕り、雑念なく魚を食べ、雑念なく生きていく。ボゾ族の生活を送りたくはないけど、傍目で観ている分には羨ましいなぁ。

人間は何を食べてきたか 第6巻 [DVD]

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