モンテ・クリスト伯
アニメの巌窟王を観たもんで、無性にモンテ・クリスト伯を再読したくなった。
本棚からひもといて、読みふける。ちょっと読もうってつもりだったんだけど、連休の二日間を使ってしまった。本来ならこの作品はメモやノートを取りながら、人間関係やイベントを整理しながら読むのが正しいのであろうが、それは後回し。
で、二回目の感想。箇条書きで。
1.アニメの巌窟王、ベッポ*1が男だと言うオチを観て「そりゃあないよ」と思ってたけど、原作でもそうなんですね。驚いた。デュマは萌えを先取りしていたのか。そういや、エデもそうだしなぁ。
2.エデは確かに魅力的なんですよ。魅力的なんだけど、やはり出番に乏しいなぁ。ヴァランティーヌさんや、メルセデスさんの方がどうしても印象的。エデはヒロインというわけではないんだろうなぁ。とは言え、モルセール伯爵との対決シーンは凛々しいし、決闘に向かう伯爵を一睡もせずに待つ姿は健気そのもの。伯爵がエデを思う気持ちもよく描写されているけど、もうひと味ほしいなぁ。関係ないが、エデとギャラリーフェイクのサラはどことなく雰囲気が似ている、ような気がする。
3.メルセデスさんの扱いが悪いよなぁ。モルセール伯爵とくっついたのはメルセデスの本意という訳ではないにも関わらず夫は自殺し、全財産を失い、息子は戦場へと。アルベールが戦場へ行くのは必至だったと思うんだけどね。今まであまりにもボンボン過ぎた訳だし、かなりマザコン入っているので、母離れは必要なことですね。アルベールが望めば伯爵も手助けするって言ってるし、物語が終わった後で幸せになるとは思うんですけどね。
4.再読して、ノワルティ老人の存在感に気が付く。いや、これはすごいですよ。ヴァランティーヌを実質的に支えたのはノワルティ老人なんだな。よくよく考えたら、マクシミリアンはあまり活躍していないぞ。
5.ラスト、伯爵はモンテ・クリスト島の財産をヴァランティーヌとマクシミリアンに譲るわけですが。前読んだ時、てっきり全財産だと思っていたんだけど、どうも勘違いしてたかな。岩波文庫版の六巻、P.196に、次のようなことが書いてある。
予は、予が旧主にして、マルセイユの船主たるピエール・モレルの息、アルジェリヤ騎兵大尉マクリミリヤン・モレル氏に、二千万フランを遺贈す。<中略>
この二千万フランは、予がモンテクリスト島の洞窟中に埋蔵しある物にして、その秘密はベルツッチオの知るところなり。<中略>
本遺言書には、すでにエデを持って予が財産の残部の受贈者たるを記したり。右財産は、多くの地所、イギリス、オーストリヤ、オランダの公債、各地における予が邸宅の動産全部より成る物にして、上記二千万フラン及び召使どもにたいする各種の遺贈を控除して、なおかつ六千万フランに達すべし。
とあるので、モンテ・クリスト島の財産は、モンテ・クリスト伯の財産の一部って訳だと言うことになりますね。確かに、エデに財産を残さずにはいられない、か。
- 作者: アレクサンドルデュマ,Alexandre Dumas,山内義雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1956/02/05
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*1:いかにも萌えキャラ風情なんだよね