15・16話

#15 地球の翼を守れ
THE TRAP

ミステロンの予告

「地球人よよく聞け、我々はミステロンだ。我々の声はお前達のテレビを通じて全世界に放送されている。今度は、お前達に予想できない復讐を行う。時計がある時刻を告げる時、地球の翼をもぎ取るのだ」

あらすじ

ゴダード准将とホルト副官が乗るXQR機が落雷によって墜落し、二人は死亡してしまう。もちろんミステロンの仕業であり、二人はロボット化される。行方不明のXQRを捜索するスペクトラムであるが、その時XQRより通信が入った。XQRはスペクトラム基地に着陸し、ゴダード准将は世界空軍会議*1の打ち合わせに出席する。ゴダード准将の提案により、世界空軍会議の場所がグレン・ギャリー城に変更になる。キャプテンスカーレットゴダード准将はグレン・ギャリー城に視察に赴くが、すでに城にはミステロンによるトラップが仕掛けられていた。時計が十時になると隠し部屋から機関砲を撃ち、首脳は皆殺しにすると言う狙い*2なのである。トラップに気付いたキャプテンスカーレットだが、彼はゴダード准将に捕らえられた。空軍首脳は何も知らずにグレン・ギャリー城に集結してしまう。キャロルがXQRの残骸を発見し、スペクトラムはこの一見がミステロンに仕組まれていたことに気が付く。ホワイト大佐の命によりブルー大尉がギャリー城に派遣される。時計が十時を指そうという時、キャプテンスカーレットモートン氏(城の管理人)の助力によって牢獄から脱出に成功した。銃弾を受けながらも空軍首脳を救出するキャプテンスカーレット。首脳達はマグナコプターで脱出しようとするが、ゴダード大尉が城壁から機関銃で狙っており、離陸することが出来ない。キャプテンスカーレットSPVジェット機で囮になり、ブルー大尉がSPVのロケット砲で城壁をねらい撃つ。一撃、二撃、三撃。城壁は破壊され、キャプテンスカーレットゴダード准将は崩れ落ちる城の中へと消えていくのであった……。

はっきり言って不満な出来。ミステロンの手段が回りくどくていけないなぁ。見どころと言えばシンフォニーの胸くらいだ。今まで気が付かなかったが、シンフォニーは結構巨乳なのね。

そもそも、別に十時になるまで待たなくてもいいじゃないかミステロン。首脳達が集まっているんだから、普通に撃てばそれでいいわけで。時間を指定したがために復讐を完遂する事が出来なかった。お人好しというかなんというか。


ゴードン准将の台詞

スペクトラムとお前の腕は俺も認める。しかし、残念ながらこの計画だけはお前達にも防ぐことはできんぞ

人智を越えた存在であるミステロンにも、スペクトラムキャプテンスカーレットの実力は認められているというわけなのか。割合と勝負になっているのだね。


ラストシーン、スペクトラム基地に呼ばれたモートンさんとスペクトラム隊員との会話

モートン「しかし、城が崩れ落ちたのによくまあ無事でしたね」
スカーレット「きっと僕は不死身なんですよ」
ホワイト「おい、そんなことを言うとモートンさんがびっくりなさるじゃないか」
モートン「ご心配なく、冗談は好きですからね」
スカーレット「実は自分でも信じられないんですよ。運がよかったんですね」

うーん、微妙なユーモア。笑いどころがよく分からないユーモアですな。


キャプテンスカーレットキャプテンスカーレット」と連呼するだけだったエンディングに、歌詞が付いている。どことなく、バグルズの「プラスチック・エージ」とか「モノレールのジョニー」を思い出すような、テクノポップスと言うような感じの歌。最初は違和感があったけど、二、三回聞いている内に好きになってきた。クレジットを観ると、'CAPTAIN SCARLET' SUNG BY THR SPECTRAMとある。つまり、スペクトラム隊員は実在して、その面々が歌っているという設定なのね。日本のアニメではよく見るけど、この形式の先駆者だったという訳か。

冒頭シーン「火星の支配者」「不死身の戦士」



#16 ミステロン基地発見
LUNARVILLE 7

ミステロンの予告
「地球人よよく聞け、我々はミステロンだ。我々は月と平和条約を結び、戦いを避けることにした。しかし、地球に対してはあくまで復讐を続ける。それを忘れるな」

あらすじ
月基地総督から地球に向けて、「月基地はミステロンとの接触に成功し、平和条約を結ぶに至った。月は中立であり、地球に援助する意志はないことを宣言する」との連絡が入った。ミステロンと接触に成功した事態を重く見たスペクトラムは、キャプテンスカーレットとブルー大尉、グリーン少尉を月の第七基地へと派遣する。また、彼らにはもう一つ、ハンボルト海を調査せよと言う任務が与えられた。ハンボルト海では許可なく建設工事が行われていたのだ。第七基地へ到着したスカーレット一行は、認識バッジを与えられた。月基地はSID*3と言うコンピューターがあり、SIDにより全てがコントロールされている。SIDは認識バッジにより、相手の階級を知ることが出来る。月探検車に乗り込み、オルソンのガイドにより月面を案内されるスカーレット一行。だが、ハンボルト海に行きたいとスカーレットが言ったとたん、オルソンの態度が豹変する。オルソンの態度に不審を抱いたスカーレットは、部屋の中で盗聴機を発見する。夜も更け、キャプテンスカーレットはSIDに月探検車を用意するように頼んだが、SIDはスカーレットの命令を聞かない。月基地総督が戒厳令を発動したため、SIDは総督以外の命令を聞くことが出来ないのだ。しかし、スカーレットの機転により月探検車を用意することが出来た。スカーレット一行は月探検車ハンボルト海の調査に出発する。しばらく調査していた一行であるが、グリーン少尉が噴火口101に何かを見つけた。噴火口101では、ミステロン基地が建設されようとしていたのだ。スカーレットは急いで月基地へと戻り、待機中の宇宙船への帰還を試みる。総督は出口の閉鎖をSIDに命じるが、SIDは総督の命令を聞かない。キャプテンスカーレットが自分の認識バッジを総督の物とすり替えておいたのだ。発狂した総督は拳銃をSIDに向け、何度も発砲する。スカーレット一行が乗る月着陸線は、爆発炎上する基地を後にする。

うん、満足。前回はイマイチだったが、この話はいかにもSFって話。メカ好き、宇宙船好き、コンピューターにはたまらない話ですな。


一番面白いところは、地球への対抗心にあふれた月基地の面々ですな。どれほどの対抗心を持っているか、総督の台詞から抜き出してみますか。

ブルー「(SIDを指して)機械だなんて信じられませんね」
総督「月へ来た我々が自分たちの力で作った傑作だよ」
グリーン「しかし、地球で開発されたんじゃないんですか」
総督「昔は多少協力して貰ったが、今や我々は完全に地球から独立して…。分かったかね!」

この強烈なプライド、対抗心がいいですね。植民地を支配下に置きたがる母星。一方、植民地は母星からのコントロールを離れたがる。SFの定番ですね。オルソンの話によると、当初地球に依存していた水ですら、月面の酸素や水素を元にして自給できるようにしたみたいで、この辺りも強烈なプライドがうかがえます。


上の総督からの会話からも分かりますが、この話の主役は紛れもなくSIDですね。この言語可能機械に対してはアンダーソンも愛着を持っていたみたいで、謎の円盤U.F.Oでも登場していますね。月基地の全て、空気、連絡通路、動力、月探検車や月ロケットをコントロールしている万能の機械。だけど、妙に人間くさい一面を持っています。物語の最後で、総督の銃撃で破壊されるわけですが「申し訳……ありま……せん」と弱々しい声でなんども繰り返しつつ機能を停止していくわけです。なんとなく泣けてしまうような最期ですね。某映画のHALを連想します。


いつも目立たないグリーン少尉ですが、今回の話では「電子工学の専門家」という肩書きが出てきます。噴火口101での会話。

ブルー「車のようなものがあるが、みんな変な動き方だ」
スカーレット「電子工学の専門家として君はどう思う?」
グリーン「あれは自動操縦ですね。非常に複雑ですが一つの型があります。作業全体が自動的にセットされています」

専門家と言われるだけのことはあるというわけですか。


他にも、キャプテンスカーレット大活躍とか、ロケットや月探検車のデザインが秀逸と、今回は見どころ盛りだくさんの回でした。もっとも、ミステロンが総督をロボット化した意味や、平和条約を結んだと地球に連絡した意図が最後まで分からないままでした。しかし、ミステロンは人智を越えた存在なので、私みたいな人間に意図が分かるはずがないですね。

*1:世界の空軍の最高首脳が全員出席する会議であり、ミステロンについて討議を行うらしい

*2:ミステロンの予告での「地球の翼」とは、空軍首脳の事

*3:SIDは言語可能なコンピューターで、人間の言葉で入出力を行うことが出来るのだ