逆転戦略 ウィルコム「弱み」を「強み」に変える意志の経営

ウィルコムユーザーなので、興味を持って買ってみました。この本の軸にあるのは、なぜカーライルがDDIポケットを買収したのかと言うこと。カーライルは、ファンドの平均リターンが34%。投資案件が焦げ付いたケースがほとんどなく、多くが安定した利回りを達成している。カーライルはDDIポケットの何に目を付けたのだろうかと言う所から始まっています。

本書 P.174
さて、ひと口に年率34%と言っても、投資からエグジットまでは通常3〜4年かかる。年率34%で4年間成長するということは、4年後に企業価値が少なくとも3倍になっていなければ間尺に合わないことになる。カーライルは本当に「ウィルコム企業価値は、近い将来3倍以上になるポテンシャルがある」と考えているのだろうか。


ウィルコム、旧DDIポケットユーザーから観れば、カーライルのDDIポケット買収は、単に経営が変わっただけであり、KDDIの枷を外したというだけの事でしたが、投資家ではこんな意味を含んでいたのですね。つまり、DDIポケットはリターンする見込みがあるので、投資する。PHSにはそれだけ大きな可能性がある。

音声定額制により、PHSもある程度の評価を受けているようですし、ウィルコムも経営は好調のようです。少なくとも、純増数は着実に増えています。しかし、カーライルはこの程度の事では満足しないようですし、まだまだネタがあるのかも知れません。W-SIMなど、面白そうな構想も出てきています。PHSはようやく暗黒時代を抜けたようです。



ところで、amazonのレビューを見ていたらこういう文章に出くわした。

botaname氏のレビュー
知己のある人間に仄聞したが、「創業から5年経て毎年300億の赤字を計上しても残業支給に制限無く高い賞与が出る。それが普通」なのが著者がターゲットとする組織の体質であるとともに従業員の意識と聞く。

設立五年目と言う事だから、1999年か2000年の事なのかな。2002年に黒字化した事に触れないのというのでは、手落ちか手抜きのどちらかでしょうね。

 DDIポケットは3期連続で黒字を出しており、KDDIの連結業績の中でも売上・利益共に6%程度を占める優良部門だ。KDDIの小野寺正社長は「グループの連結業績に大きく貢献した」としながらも、「KDDIとしては好調なauに競争資源を集中したい」と売却の意図を説明した。今後は10%の株主として、ビジネスパートナーとしての関係を保つ。
「PHSの潜在成長余力に注目」〜Carlyleと京セラ、2200億円でDDIポケット買収 - ITmedia Mobile