古川さんに再度返答する

議事録の詳細全てが開示されているか、もしくは匿名性を問題にする前に、開示されている全ての資料をご査収頂いて問題の本質を議論しませんか?ということです。

私的懇談会でどのような議論が行われたのか、その議論はどのような背景に基づいて行われたのかが、私が知りたいところなのですが、公開されている資料だけでは知りたいところが大幅にスポイルされているので、どのような議論だったのかまるでわからないのです。

その根拠を具体的に述べてみたいと思います。長くなりますが、古川さんのブログから引用させていただきます。

竹中懇談会で提言されたNHKが放送用周波数を8波も持っているなら、なんとか有効利用を考えてはいかがでしょうか?という提言は、決してFM放送を1局つぶしてしまえ、なんて乱暴な議論ではなく、アナログ放送でもデジタル放送でもその隙間を有効利用して第三者のサービスに帯域を供与すれば、NHK殿の新たな収益確保に繋がりませんか? それをしてはダメという法律の壁があれば、それを規制緩和しませんか?それでも、ご自身でやる気が無いなら、その帯域を第三者にそのまま割り当てる(返却しなくても、隙間の帯域だけでも)ということを考慮しませんか?という提言であったわけで...
放送・通信の在り方に関する、私見その14


周波数の有効活用のために、NHKが一部を解放するべきではないかと言うのは、正論だと思います。しかし、この肝心な部分が、最終報告書ではスポイルされているのです。最終報告書を読む限りでは、私的懇談会では古川さんが仰るところの「乱暴な議論」が繰り広げられていたとしか考えられません。私的懇談会が長い時間を掛けて、議論してきたことが全く反映されていないのです。


報告書の該当部分を引用いたします。

次に、FMラジオ放送については、民間のFM放送や音楽配信サービスが普及している現状では、多彩な音楽番組の提供という公共放送としての役割は既に終えたものと考えられる。従って、これらの放送については、必要な周知等の措置を十分に行った上で、2011年までに停波の上、速やかに民間への開放等の措置を取り、視聴者が多様な放送を享受できるようにすべきである。他方で、地上波テレビ放送については、視聴者のニーズ等を勘案して、直ちに削減することは困難だと考えられる。
通信・放送の在り方に関する懇談会報告書(P.9)


これを読む限り、次の様に受け取ることができます。

  1. 地上波のチャンネルを削ることは難しい
  2. しかし、ラジオ放送を削ることは可能である
  3. NHKのFMラジオは公共放送の役割を終えた以上、停波するべきである
  4. 停波した周波数に関しては、民間に開放するべきである


古川さんは、私的懇談会では「NHKが持っている電波帯域を有効に活用するべき」と提言したと述べておられますが、私的懇談会の報告書では「NHKのチャンネル数を削減するべきである。地上波の削減は難しいが、衛星放送とラジオなら削減可能である」と読み取れてしまうのですね。私的懇談会では乱暴な議論をしていないと言うことなので、これは報告書の表現に問題があると思います。

また、以下の引用文からも、NHKのチャンネル数削減が、私的懇談会の「目的」であることがわかります。

(NHKの抜本改革について)
・「衛星放送、ラジオ放送について、どの程度の削減を行うべきか。」となっているが、チャンネルを削減する理由を分かりやすく説明する必要がある。
通信・放送の在り方に関する懇談会 第12回会合議事要旨


内部でどのような議論が行われたのかは、非公開の私的懇談会である以上、私にはわかりません。一方、公開されている情報は2ページの議事要旨と、報告書程度しか存在しないわけです。そして、報告書を読む限りでは、乱暴な議論が行われていたとしか思えません。

繰り返しますが、私的懇談会が乱暴な議論を行ったとは考えていません。しかし、私的懇談会がどのような議論を行っていたのかを知らせるためには、2ページの議事要旨では不十分だったと思います。あの議事要旨だけでは、どんな議論がなされていたのか分かりません。

私的懇談会の議論を無にしないためにも、詳細な議事録を公開するべきではないでしょうか。実名にそんなに拘っているわけではありませんので、匿名でも構わないのですが、議論の流れが分かるだけの議事録は公開していただきたいと考えます。