考える材料には事欠かない医療事故

読売新聞から引用。

当時、小児外科の専門医がおらず、同病院は「小児手術の経験が少ない執刀医による初歩的ミス」と認め、両親に謝罪した。

28日会見した吉矢生人院長(67)らによると、ミスがあったのは、腸の一部などが足の付け根部分で皮膚の下に出てくるヘルニアの手術。主治医の男性外科医(30)が、腸を覆っている腹膜を取り出そうとして、誤ってぼうこうを取り出し、そのまま4分の3を切除した。別の男性外科医(38)が指導役として立ち会っていたが、気付かなかったという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060828it15.htm


この事故は初歩的ミスで片づけてはいけない事件だと思う。「初歩的ミス」と報道されると、その時点で思考停止してしまう恐れがあるが、このケースでは思考停止してはいけないと思う。教訓を引き出すべきではないか。


疑問として、次の三点が挙げられるだろう。

  1. なぜ病院側は経験のない外科医に手術させたのか
  2. 親は経験がない外科医が執刀すると言うことを知っていたのだろうか
  3. 親は小児科専門病院への転院を考えなかったのか、また病院は転院を勧めなかったのか


執刀医の責任は、基本的にはないと思うし、追求してはいけないだろう。経験がない以上、失敗するという事を念頭に置くべきであり、失敗したところでそれは想定内の出来事であろう。問題は、手術が失敗すると言うことを、両親や病院側は想定していたのであろうか。私はそう言う背景を知りたいし、マスコミが報道してくれるとありがたい。


あと、個人的には病院の対応はよろしいと思う。幼児にとっては気の毒な事故ではあるが、これを気に小児科医の待遇改善がすすめばいいのになと思っている。