日本共産党の独創性あふれる政府批判


日本共産党は、「例」と言うものを引き合いにだして政府批判を行っているようだ。

ここに、中央教育審議会が二〇〇三年三月に「教育振興基本計画」のひな型として発表した文書があります。それを見ると、数値目標がずらっと並んでいます。そしていじめについても「五年間で半減」という数値目標が書かれております。私は、この文書のなかで、いじめ問題について書かれているのは他にないかなと思ってよく読んでみましたけれども、書いてあるのは「半減」という目標値だけなのです。
いじめの克服になにが大切か/志位委員長の質問/教育基本法改悪案の問題点ただす

これだけ読むと、教育振興基本計画と言うものがあり、その中ではいじめに関する数値目標が規定されていると思う人もいるだろう。つまり、国の方針として「五年間でいじめを半減」するという事が規定されており、それが既に「教育振興基本計画」の中に盛り込まれていると勘違いする人もいるかも知れない。


しかし、これは誤解だと思うのだ。少なくとも政府が「五年間でいじめを半減」などという方針を現時点では打ち出してない事は明らかだし、方針を打ち出していない以上、各教育委員会に押しつけているはずがないのだ。「五年間でいじめ半減」と言うものは、あくまでも例にしかすぎないのである。


共産党が引き合いに出した文章はhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/030301e.htm*1から取ってきたのだろうが、タイトルを観れば分かるように、教育政策に具体的な目標を取り入れるかどうかを問題にしていることが分かる。そして、「いじめ半減」と言うのは43項目のうちのたった1項目なのである。これを元に、政府が数値目標を現場の教育機関に強いていると批判するというのは、無理があると思う。


この文章を政府攻撃に使うのはいかにも共産党のやり方であり、野党のやり方であり、建設的な議論ではないなと私は考える。建設的な議論というのは、以下のような問いかけだと思うのだ。

  1. 教育に数値目標を導入するのは是か非か
  2. いじめに数値目標を導入するのは是か非か
  3. いじめというものを定量的に評価するためにはどのようなやり方が良いのか
  4. そもそも、いじめの定義とは
  5. 半減するというのは無理があるのではないか。段階的に進んでいくべきではないだろうか

と、政府が材料をだしたのだから、野党らしく論理的に議論を行えばいいのではないかなと思うわけである。数値目標反対の一点張りでは、説得力に欠けるんじゃないかな。少なくとも私はそう言う議論には興味がない。

*1:正確には「いじめ,校内暴力の「5年間で半減」を目指し,安心して勉強できる学習環境づくりを推進する。また,不登校等の大幅な減少を目指し,受入れのための体制づくりを推進する」である。共産党不登校者の受け入れのための態勢づくりにも反対しているのかな。