どうやら医師の方々は鳩山幹事長発言には抗議しないようだ


麻生首相の問題発言が、医師の方々の反発を呼んでおり、日医も首相に対し直接抗議したようだ。これに関しては、医師の方々の反応は正当だと思うし、日医の抗議も当然だと思う。麻生首相の発言は考えなしに発言しているとしか思えないし、自分の発言がどのような感情を人に与えるのか、想像力に欠けているように思う。首相という立場の方が発言していい問題ではない。


ところで、民主党鳩山幹事長も「失言」と言っていい種の発言をしているのだが、これを大きな問題だと考えている人はあまりいない様である。世の中の誰も「失言」だと思っていないし、医師でさえ「正当な発言」だと考えているのではないかとすら思う。

 民主党鳩山由紀夫幹事長は20日夜、神戸市で開かれた同党の会合で、薬害C型肝炎問題に関し「流産時に輸血した妊婦さんで、ひょっとしたら(汚染された血液製剤の)フィブリノゲンなどを入れられてしまっている可能性の高い方がたくさんいる。でも、多くの方がカルテが見つからない。厚生労働省から意図的に病院、医師に『カルテを捨てなさい』、そんな指示が出ていたようだ」と述べ、血液製剤の投与を証明するカルテの破棄を厚労省が指示していたとの見方を示した。
厚労省がカルテ破棄指示=薬害C型肝炎で民主・鳩山氏


この問題、個人的には麻生発言より問題だと思う。時事通信の報道で見る限り、鳩山幹事長血液製剤の投与を証明するカルテが見つからないのは、医師の方々が厚労省の「カルテ破棄」と言う指示に唯々諾々と従い、カルテを破棄したと言う「犯罪行為」を行ったと決めつけている事になる。


私は医師の言動や考え方はネットを通じてしか知らないが、医師の方々が厚労省の「カルテを破棄せよ」と言う間違った指示に簡単に従うとは思えない。医師はプロフェッショナルであり、自らの職業倫理に従う方々が殆どだと思っている。職業倫理の軛は一般の人が想像するよりはるかに重いと思われる。そのような医師の方々が、職業倫理に反するカルテ破棄などを行うはずがないと私は考えたい。


しかし、鳩山発言に抗議する医師の方々、医師の団体の声が聞こえてこないという事は、C型肝炎患者に対するフィブリノゲンの投与を証明するカルテ破棄が常態化していたのかも知れない。悲しい事ではあるが、医師の声が聞こえてこない以上、犯罪行為に荷担する医師の方々が存在した可能性を拭い去る事ができない。


カルテ破棄など行っていないというのであれば、きっちりと民主党、そして鳩山幹事長に対して公式に抗議するべきだと私は考えるのである。抗議しないのであれば、残念ながら、私は日本の医療界に対して絶望する他はない。