未完が宿命づけられた物語


私はグイン・サーガという物語を読んだことがないが、野田昌宏氏の「スペース・オペラの書き方」で読んだ、以下の一節が心に残っている。

スター・ウォーズ>よりずっと前の事だが、SF界の美女として知られる栗本薫くンがやはりこの辛い問題に関して、こんな事を書いているのに出会ってウゥム! やっぱりそうなのか! と唸り、すっかり嬉しくなってしまった事がある。

本来、物語とは「いつまでも終わりなく語りつづける」ことだけを主張してしかるべきものであり、そしてそれこそが近代小説が物語とその読者から無報酬で奪い去ってしまった正当な純朴さの権利である。……(栗本薫『豹頭の仮面』あとがきより

新版 スペース・オペラの書き方 P.44


このような事を第一巻のあとがきで主張している以上は、グイン・サーガとは、未完を余儀なくされてしまった物語ではなく、最初から作者が終わらせるつもりがなかった物語なのではないだろうかと、私は思う。