権利者と利用者のバランス

昨日のエントリでは与太話を書いてしまった。おつきあい頂いた人はありがとうございます。今日が本題。

権利者と利用者の力関係のバランスが取れていないことが、権利者団体が叩かれている最大の理由だと思う。権利者は団体を作り、豊富な資金で訴訟を起こしたりロビー活動を行ったりする事ができる。しかし、著作権利用者は基本的に個人であり、ネット上の活動することはあるものの、特別な団体を作ってはいないと思う。

片や強固な団体を作り上げている権利者、片や烏合の衆の利用者。パワーバランスは一方的に権利者の方に偏っている。権利者が著作権を振りかざして来た場合、利用者は対抗する手段が何もない。立場が弱い個人である以上、団体相手に交渉するのは難しい。訴訟を起こすのも個人では難しい。せいぜい、ネット上で怨嗟の声を上げるのが関の山。

立場の弱い利用者はこう考える。「権利者が権利を振りかざすのは何事だ」とか「権利者が利用者のことを思いやる必要がある」とか考えるわけである。言い換えると「利用者は立場の弱い個人であり、弱者である。強者である権利者が弱者に配慮するのが当然ではないか」と主張していることになる。裏返せば、利用者を配慮していない権利者は、当然の行為を怠っていると思われていることになる。利用者の立場が弱いからこそ権利者団体は嫌われ、反発を受けているのだと私は思っている。

では、権利者が嫌われないためにはどうすればいいのか。そのためには、権利者と利用者のパワーバランスを一定なものに保たなければならない。一つの方法としては、昨日のエントリで書いたように「権利者団体の力を弱める」事が挙げられるが、これはあまり現実的なものではない。もう一つの方法として「利用者の力を強める」事が挙げられる。

少し逆説的ではあるが、利用者の力が強くなればなるほど、権利者団体は嫌われなくなるのではないかと思っているのである。

力の強い利用者団体が出来ると仮定する。何が変わるか。利用者が傍観者ではなく、著作権の当事者になるというのが一番の変化である。「権利者団体」と「利用者団体」との間で交渉が行われる。力が強ければ強くなるほど、権利者に対して要求を受け入れさせることが出来るだろう。仮に権利者が交渉を拒否したとしても、その時はロビー活動を行えばいい。団体が強ければ強いほど、寄付や収入が集まり、弁護士の協力を得やすくなったり、訴訟を起こせるようになるだろう。

利用者が自分たちの権利を守ることが出来ず、権利者団体の主張が一方的に通るから権利者団体が嫌われている。利用者の権利を守れるような状況を作り上げることが出来れば、権利者団体を嫌うものはいなくなるのではないだろうか。