JASRACを擁護する

さて、次はバランスを取って、JASRACを擁護してみる。JASRACに問題があるのは確かだが、なんでもかんでもJASRACを叩く風潮があるのが気になる。集団ヒステリー状態になっているのではないかなあ。

具体的な事例を説明してみる。iPod課金騒動が華やかだった頃、Cnetに一つの記事が掲載されていた。PCからiPodへのコピーをできなくすれば問題は解決する--法制小委第8回審議 - CNET Japanと言う記事で、以下の様な文章が掲載されていた。

また、音楽のネット配信について、iPodなどを補償金の対象とする場合、「補償金の二重取りになるのではないか」という意見があるが、その一方で、JASRAC関係者は「配信事業者がJASRACに支払っているのはあくまでPCへダウンロードするまでの利用料」との主張を貫いており、同関係者からは「極端な話だが、PCを通じた音楽のコピーをできないようにすれば(iPod課金に関する問題は)解決する」といった発言もなされた。

この記事を見る限り、JASRAC関係者が「PCからiPodへのコピーをできなくすれば問題は解決する」と発言したとしか思えない。この文章がネットに投げかけた波紋は大きく、このCNetの記事に基づいた、JASRACに対する批判や非難の声が上がった。

しかし、文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第8回)議事録によれば、

(椎名日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター運営委員)
そういう意味から申し上げますと、ちょっと極論になるのですが、この代償措置というふうなことが書いてありますよね。DRMと契約の融合で代償的な措置をとる。この代償措置というのは、必ずしもお金の手当てを意味していないと思うのですね。

例えばの話、DRMを装着した専用機器があり、それでの録音ということを前提とした私的録音補償金制度があった中で、汎用機器でCDがコピーできるようなものを売り続けてきたのはメーカーなわけです。だから、汎用機器を通じたCDのコピーができなければ、補償金なんか一銭も必要なくなってくると思います。その汎用機器に関わるね。

その汎用機器に関わる経済的な影響が問題であるからiPodに話が及んでいるのであって、代償的措置ということでちょっとここで突飛な発言をしますが、パソコンを通じた音楽録音はできなくしていただければ、それもまた代償的措置になるのではないかというふうに思います。

問題の発言はJASRAC関係者ではなく、芸団協の椎名氏の発言だった事になる。この発言に対する批判自体は問題ではないと思う。この発言に基づいて、芸団協や著作権者に対する批判は行うべきであろう。問題だと思うのは、芸団協関係者の発言にも関わらず、JASRACが批判された事である。

この問題の原因は、主に、

1.不正確な情報を配信したCNet編集部
2.議事録を一ヶ月も後になって公開した文科省

にあると思うが、不正確な記事に基づいて批判したブロガー等にも責任はあると思う。JASRACを批判する事は問題ではないし、むしろJASRACは批判されてしかるべきだと思うが、人を批判するにはまず自分の姿勢から正さなければならないのではないかなあ。