みつどもえ 6話 「帽子とパンツはかぶるためにある!?」

いつのまにやら間が開いてしまった.この間,Blu-rayは買ったし,コミックスはあらかた揃えたし,法人誌も買った.みつどもえ三昧の一ヶ月と言えるかも知れない.それでは,はじめましょう.



全体
ふたばの運動会の話.ひとはと松岡さんのオカルト話.みっちゃんと杉崎の痴話喧嘩という,バランスが取れた話だと思います運動会の話は基本的にあっさりで,オカルト話はちょっとこってりしていて,杉崎のパンツの話は脂でギトギトだという事ですね.全体的に人気は高く,みつどもえ総選挙でエピソード3とエピソード4が4位までにランクインしていました.人間関係が深まって,「みつどもえ」が走り始めた回だと言えるでしょう.ここからが,みつどもえの本番ですね.



エピソード1

運動会前夜.グラウンドに一人立っているふたば.そこに忍び寄る一人の不審者.と思いきや,娘を心配になって付いてきた三つ子のパパだった.ふたばは運動会が楽しみで,一人でリハーサルをするために校内に侵入したのであった.リハーサルにつきあうパパ.選手宣誓.障害物競走,綱引き,騎馬戦,リレーをこなしていくふたばとパパ.すべてが終わった後,ふたばは満足しパパの背中で眠りにつくのであった.

みつどもえには珍しく毒のない話.こう言う話を見ると,微笑ましくなりますね.


ふたばはパパ大好きっ子なのですが,大好きでたまらないパパとの触れあいが存分に描かれていたお話ですね.ふたばの天真爛漫というか,純真無垢というか,無邪気な姿を見ていると,ふたばはパパが本当に好きなんだなあ.そして,パパは本当に幸せなんだなあと思いました.あと,明坂さんの声は本当にふたばに合っていると思いました.特に「一等賞っす,一等賞っすよ」の声がよかったと思います.



エピソード2

運動会当日.ふたばの旗手になっているのはひとは.帽子を取りたいふたばと,様子を見たがるひとは.それに対し,みっちゃんは帽子をたくさん取っている.天狗になりながらふたばに帽子を見せつけたはいいが,ふたばのスイッチが入ってしまった.帽子に異様なまでの興奮を見せるふたば.命の危険を感じ,ひとはに帽子を渡すように交渉したものの,ひとはが帽子を全部奪い取ってしまった.しかし,ふたばの興奮は収まらず,最後には帽子をたいらげてしまった.

エピソード1とは打って変わって毒気たっぷりの回.三つ子三人の個性の描き分けが上手だなあと思いました.みっちゃんは外道そのもので,帽子を取りながら相手の髪の毛を引っ張ったり,吉岡さんの眉を掴んで方向転換させようとしている.ふたばは自然児そのもので,帽子を本能的に追いかけたり,食べたりしている.ひとはは,高所恐怖症もあり青ざめて「暗ガール」の本領を発揮している.そして,三つ子に杉崎さんや宮下さんが絡んできている.


一人に視点が偏らず,人間の関係を軸に物語を描いている点で,実にみつどもえらしい話だと思いました.


今回は戸松さんのローテンションの演技が面白いと思いました.「運動会という媚薬がふたばをおかしくさせた」とか,「やばい,落ちる,死ぬ」とか,その辺りの言い回しが印象に残りました.



エピソード3

矢部っちが熱で倒れた.心配するひとは.ひとはが保健室でみたものは,矢部っちを裸にし馬乗りになりながら,写経をする松岡さんの姿だった.松岡さんは矢部っちが憑かれていると勘違いし,除霊を行っていたのだった.ズボンとパンツを脱がし写経する松岡さん.そこに現れた養護教員の栗山先生.ひとははカギを閉め,パンツだけでも履かせようと,松岡さんにお願いする.そのタイミングで,矢部っちは意識を取り戻す.松岡さんはひとはの頭に矢部っちのパンツを履かせるのであった*1

今回の回,声を大にして言いたいのは,とてもエロい話だという事です.エロという言い方が悪ければ,とても色っぽい話です.冒頭の松岡さんがすでにエロいです.舌なめずりしながら,男性教師の裸体に馬乗りになり,筆で文字を書いているわけですから.「それ,なんてプレイ?」としか言いようがありません.基本美少女の松岡さんに,その様なエロい事をさせていいのかなと思いますが,いいのでしょうね.これがみつどもえです.


ひとははひとはで,何とも色っぽかったですね.普段エロ本を読んでいるくせに,矢部っちの裸を見て赤くなるわけですから.照れるお年頃なんですね.矢部っちに特別な感情を抱いているわけではないでしょうが.赤面しながら,矢部っちの身体の上で,上着をするすると脱ぐシーンも色っぽかったです.もっとも,なぜ矢部っちの上で脱ぐんでしょう.



エピソード4

新作のペンケースを吉岡さんに自慢する杉崎さん.みつばの粗末なペンケースをバカにしようとするが,そのペンケースはふたばが作ったものだった.敗北感を受けた杉崎は,ケータイを自慢しようとするが,大量のみつば盗撮写真がふたばに見つかってしまった.さらに立場が悪化した杉崎.杉崎は,エロかわいい下着を付けていることを自慢したが,どんな下着を着けているかは見せなければ分からない.結局,杉崎はパンツを見せることをみつばに懇願する羽目に陥ってしまったのであった.

みつばに張り合おうとした杉崎さんが自爆する話と言えばそれまでなのですが,この回で注目するべきは「杉崎のみつばへの愛情」でしょうね.そもそも,盗撮なんて愛がなければ出来ないわけですよ.本人は弱点を探るとかなんとか言い訳していますが,チョイスした写真が「着替えているみつば」「窓を物憂げにながめているみつば」「廊下を歩いているみつば」「教室のみつば」「幸せそうに寝ているみつば」ですから.こんなものを弱点に使えるわけがないんですよ.よっぽど魅力的だったので,無意識に取ってしまったという事なんでしょうね.


みつばはみつばで,ふたばの「杉ちゃんは,みっちゃんが大好きなんすよ」という台詞で赤くなっていたり,かわいいですね.


杉崎さんとみつばは,「仲が良いほどけんかする」という典型なのかも知れませんね.スキンシップの過剰さは,仲が良いを通り越しているようにも思いますが.今後の二人の仲がどう進展するか,注目しないではいられませんね.

*1:松岡さんにとっては除霊グッズは頭に被るものという認識なので,これも除霊行為の一環なんでしょう

みつどもえ 5話 「ブラ!ブラ!ブタ!」

毎回感想の書き方に悩むみえつどもえ.おっぱいだのパンツだのチクビだのと言う単語に性的な意味が含まれていないんだよね.困ったことに.下品なことを上品に描いているアニメなので,見ているこっちには嫌らしさはないんだが.知らない方がうっかり私の感想を見ると,引いてしまうかも知れない.まあいいや.



全体

みつばが羞恥に打ち震え,屈辱に泣く話で占められていましたね.前話は男子が絡んでいたせいかあっさりサクサクとした印象でしたが,今回は女子が絡んでいたエピソードが印象に残り,そのせいかねちっこくドロドロした話になっていたように思います.みつばとひとはのやりとり,みつばと杉崎のやりとりが良かったですね.


もっとも,みつば好きには精神的に応えるかも知れません.みつばに良いところはなかったですからね.かわいらしさは表れていましたが.次回で何かしら報われることを願いましょう.



エピソード1

ブラを持っている杉崎に張り合った結果,みつばはスーパーへとブラを買いに行くことになった.はじめてのブラの購入に戸惑うみつば.大人パンツを買うと思い込んだふたばに翻弄されたが,なんとか店員にブラを買うことを伝える.しかし,サイズのことも知らなかったみつばは恥ずかしくなってしまい,ブラを買わないまま店を出ることになった.

基本的にはふたば回なのかな.ただ,ふたばに弄られているみっちゃんのかわいらしさが出ていますね.普段サドぶっているけど,基本的には小心者であるみつばの心の動きが現れていたのがよかったと思います.


ふたばの言葉遣いが印象的でした.「ついに大人パンツを買うんすね.時は満ちたんすね.みっちゃんもいつまでも動物さんパンツなんて履いてられないっすもんね」と大声で言うふたばと,赤くなって否定するみつば,後ろでほくそ笑んでいる主婦,この三人の取り合わせがよかったです.あと,最後に追い打ちをかけるふたばも.無邪気さと残酷さを兼ね備えるのがふたばの良いところですが,それがよく現れていました.



エピソード2

丸井家に一時的にやってきたハムスターのチクビ.チクビにべったりのひとはだが,チクビはみつばのパンツに描かれたハムスターのプリントに恋してしまう.ハムスターとのイチャイチャぶりを見せつけるみつばと,みつばに嫉妬するひとは.あわや刀傷沙汰になりかけるが,みつばのパンツの真実を知ったチクビはひとはの元に戻るのであった

ハムスターへの嫉妬に狂うひとはと,そのひとはの表情に優越感を感じるみつばが素敵でした.嫉妬のあまり「パンツを切り裂いて,私も死にます」とのたまうにも関わらず,チクビを思うと切り裂けないひとは.優しい娘ですね.ひとはの涙を笠に着て,「ふん,女の嫉妬は醜いわね.しおらしく負けを認めなさい」と追い打ちをかけるみつば.このあたり,声優さんの演技もあいまって,素晴らしいと思いました.みなさん芸達者ですね.


あと,何も悪くないのに変態扱いされた佐藤くんはみつば以上に悲惨だと思います.千葉氏の策略でしょうか.



エピソード3

水泳の更衣室.ブラを自慢する杉崎.悔しがるみつば.胸の大きさ争いに発展し,ふたばにおっぱい査定を依頼したが,みつばの胸も杉崎のむねもおっぱいと認識してもらえなかったのであった.決着を付けるためにみつばは杉崎のブラを着用したが,ブラが外れない.屈辱にたえながら杉崎にお願いする羽目になったのであった.

今回,おやと思ったのは体操のシーン.この様なシーン,普通のアニメであれば主役・脇役だけを中心に描いて,その他大勢のキャラクターはいわゆるモブ扱いですよね.このアニメではモブはモブ扱いされず,一人一人に顔があり,名前があり,そして動きがある.群衆のなかのみつばであり,杉崎なんですよね.この様な描き方はこの回に限ったわけではなく,オープニングでも明らかなのですが.


杉崎の「どうしてほしいの? 前衛ファッションが素敵な変態さん」というささやきにはゾクゾクしました.あんな感じで罵られてみたいかなと,一瞬思い浮かんでしまうほどの声でした.繰り返しますが,みつどもえの声優さんは皆さん芸達者ですし,作品にあった声をしていると思います.



エピソード4

授業参観.パパの外見を嫌っているみつばは,ひげを剃りスーツを着用して授業参観に行くことを要求する.そこでパパは,頭と眉毛とひげを剃り,黒スーツを着用し,あたかもヤクザの如き服装で参観に赴く.憤慨するみつば.しかし,パパについての作文がふたばと入れ替わり,みつばは羞恥に打ち震えながら作文を読む羽目になってしまった.

みつばに嫌われるパパは気の毒ですが,みつばの要求は妥当でしょう.普段の服装で行っても確かに不審者扱いされるだけですし,かといって,黒スーツではヤクザと間違われるだけですしね.TPOをわきまえた服装というのは大事なのですね.アニメは勉強になります.


羞恥に打ち震えながら作文を読むみつばは良かったです.普段サドっ気を表に出すキャラが,屈辱に耐える姿を見るのは何というか,こう,こみ上げてくるものがあります.嘘ですが.弄られることでみつばは本音が表に出てくるのが良いですね.作文が入れ替わったとはいえ,泣くほど読むのが嫌なら自分で文章を作れば良さそうなものですが,それを素直に読む辺りがみつばのみつばたる所以なのでしょうね.


ところで,みつばが書いた作文,あれ本当に読むつもりだったのか.なんて奴だ.

iPhoneの脱獄行為合法化の件について

iPhoneの脱獄や教育目的ないし批評のために正当な範囲でDVDのCSS〔コピーガード〕を無効化することは、今やDMCA〔デジタル・ミレニアム著作権法〕の下で違法ではなくなった! この新しい方針は先ほどアメリカ著作権庁から発表されたばかりだ。これは大事件だ。くりかえすが大事件だ。
速報! 米著作権庁、合法利用の範囲を大幅拡大―iPhone脱獄など全6項目 | TechCrunch Japan


何が凄いんだろう.


ぶくまのコメントを見る限り,「アメリカは凄い.日本は出遅れている」と言った論調が多勢を占めているのだが,これがよく分からない.今回,米著作権庁が示した適用除外範囲のうち,どれが日本で問題になる行為なんだろう.

1. 教育上の目的ないし批評のために必要な公正な利用とみなされる範囲で複製を行うため、合法的に所有するDVDの暗号化を無効化すること。
2. ユーザーが合法的に所有するソフトウェアを携帯電話上で実行させることができない場合、そのソフトウェアが実行できるように携帯電話の機能を変更するプログラムを実行すること。(つまりiPhoneを脱獄(Jailbreaking)させてGoogle Voiceを走らせるなど)
3. 携帯電話を予め設定されたネットワークとは別のネットワークに接続させることを可能にするようなプログラムを実行すること。(つまりiPhoneを脱獄させてAT&TではなくT-Mobileに接続させるなど)
4. セキュリティーに関する合理的な試験ないし調査のためにビデオゲームの暗号化 (DRM)を無効にすること。
5. ハードウェア・ドングルによって保護されているソフトウェアについて、そのドングルが製造中止になるなど老朽化した場合に、当該のソフトウェアにドングルの機能を無効にするような改変を加えること。
6. 電子書籍に機械による読み上げを妨げる機能が組み込まれている場合に、その機能を無効化して内容を読み上げること。


私の著作権に関する理解で言えば,著作権法の本質は「複製させない権利を権利者が保有する」事にあると思う.そして,条文の中で複製に絡んでいるのは,1番だけだ.しかも,1番の条項は,日本では著作権法の対象にならない行為だ.日本の著作権法に馴染んでいる私にとっては「なぜ,今頃こんな事を明言しなければならないんだろう」という思いが拭えない.*1


DMCAに関しては全く知らないのだが,今回の米著作権庁の発表を見る限り,「DMCAは日本の著作権法より広い範囲を制限している」か「AppleDMCAを無視して,勝手な法解釈を述べている」かのどちらかしかない.


この件を持って,著作権法に対してアメリカは柔軟であり,日本が硬直化しているのは間違っていると思う.アメリカが日本以上に制限をかけたため,日本では問題にならない範囲が問題になった.そこで,米著作権庁が「違法ではなくなった」と言う必要が出てきたという話じゃないのかな.この件でアメリカを賞賛するのは「ホメオパシーの保険適用廃止」を議論しているイギリスを賞賛するようなものだと思うんだよね.


もっとも,米著作権庁が適用を除外した行為が,日本では違法というのであれば,このエントリーの内容は全部間違っている事になりますね.


ホメオパシーというキーワードで来る人もいるみたいですね.手ぶらで帰すのも申し訳ないので,ドイツのホメオパシー事情に関して,概要を記載しているエントリーがあったので紹介します.なかなか興味深い内容だと思います.
ホメオパシー:ドイツでの状況: 粂 和彦のメモログ

*1:DMCAの適用除外範囲を個別に列挙しているというのも疑問である.アメリカはフェアユースなので,裁判で白黒付ければいいじゃないかと思うんだよね.フェアユースを採用しているのに,なぜわざわざ個別に除外を決めたんだろう

みつどもえ 4話 「乳と白パンツと小生」


面白かったけど,感想どう書けば良いんだろう.おっぱいとかパンツとか連呼されているのですが,嫌らしさが皆無という不思議なアニメと言う事だけは確かのようです.今回は全体的にはみつば回と言えるでしょう.


・OP
じわじわ来ました.「私は誰でしょう」から「楽しんで毎日大きくなれば遊べないの」あたりの流れが気に入ってます.あと,みっちゃんがどんぶり飯を食べるときのお腹が,すごいことになってますね.あと,作画枚数を増やさない工夫が見られるのが面白い所です.


・Aパート
クラスで矢部っちの写生をする話.ふたばのおっぱいの絵はどうでも良いのです.一人だけまじめに矢部っちを書いているのに,絵が下手なために「三つ子ども,ちゃんと僕を書いてよ」と怒られるみつばさんに共感を抱いてしまいました.みつばさんは他にも,ふたばの髪の毛で悶える際の表情とか,おっぱいの絵を見られて恥ずかしがるふたばに対して「まだガキね,見られる悦びを知らないなんて」という際の表情がいやらしくて素敵でした.と言うかお前何歳だよ.


・Bパート
ふたばの怪力により,みっちゃんの筆入れが破壊されるお話.みっちゃんの意外な一面が描写されたお話ですね.入学の際にパパから買ってもらった筆入れを大切に使っている物持ちの良さ,ふたばを心配してプリンを取っておいてやる優しさ,ふたばが胴着で作った筆入れを受け取る優しさ.いちいち照れているのがまたかわいいんだ.照れ隠しに頭を踏んづけるのはいかがなものかと思いますが,お姉さんお姉さんしているのがほほえましいです.ふたばもまんざらでは無さそうだし.


・Cパート
優等生の佐藤くんが大変な事になるお話.女の子の部屋に入った男の子は,部屋を漁ったり,においをかいだりしたいものなのでしょうか.私にはよく分からない世界ですが.タンスから転げたパンツは不可抗力としても,タンスにしまわずに,パンツでリフティングするというのは明らかに変な行為だと思います.千葉氏と佐藤くんでパンツを蹴り合いながらキャッキャウフフしているのは明らかに異常なのですが,これが自然に思えてしまうのがみつどもえみつどもえたる所以でしょう.いろいろあって,最終的には佐藤くんがパンツを変態仮面のごとくかぶってしまうわけですが,はぁはぁ息を荒げたり,目が充血してしまっている以上,これはさすがに言い訳の余地はないですね.佐藤くんや千葉氏に文句を付けたり「バカふたば」と言っているみっちゃんは凛々しかったです.どうもこのアニメ,原作に比べるとみっちゃんの凛々しさが増量されているようです.


・Dパート
先の話でめでたく変態・パンツ泥棒の烙印を押されてしまった佐藤くんですが,さらに泥沼に陥ってしまうお話です.千葉氏にそそのかされたふたばにより,みっちゃんのパンツが机の中,下駄箱にぎゅうぎゅうに押し込まれ,あたかもいじめに遭ってしまったかのようです.最終的には,スパッツの上からパンツを履いたふたばに泣かれ,パンツを脱がしている所をみっちゃんに見つかってしまうわけですが,何を書いているのか自分でも分からなくなってきました.言い訳ぐらいは聞いてやろうとしたみっちゃんの冷静さに感心しましたが,あのシーンを目撃しては変態扱いせざるを得ないですね.

みつどもえ 7


アニメ化で興味持って,原作に手を出してみました.漫画喫茶で全巻読みましたが,とりあえず7巻から購入してみることにした次第です.


・扉絵
作者の宮なんとかさんに対する愛情をひしひしと感じるイラストに仕上がっていると思います.宮なんとかさんの魅力を十二分に表現しています.イラストの背景は宮部・宮平・宮内・宮野・宮崎・宮里・宮坂・宮武・宮ヶ原・宮津・宮宗・宮林・宮北・宮島・宮代と言う文字がならんでおりますが,宮下*1はありません.このあたりにも作者の宮なんとかさんに対する愛情を感じます.


・聖夜の合コン
作者の方はカラーページになると女の子キャラの太ももを強調して描くようですね.今回は吉岡さん.みつどもえワールドの合コンは「ケーキをよこす」とか「帰宅」とか,平和な世界だなあと思いました.


・118卵性 アズサGK5
三女さんがガチピンクの握手会に参加するというお話.テレビやみつばの前ではうまく挨拶できなかったのに,矢部先生の前では普通に言えると言うのがポイントでしょうか.本心をさらけ出せる相手だと言う事ですね.絵的な見所としては,矢部先生の手を放さないように握るひとはの健気さと,ガチピンクの太ももという事になると思います.


・121卵性 謎部隊のアレ
「佐藤が好きでしょうがない隊」の活動を描いた話です.佐藤くんの空気が主食,佐藤くんのぬくもりが副食,佐藤くんの顔面キックがデザート*2という変態きわまりない隊ですが,隊長であるおがちんのフェアさに心打たれました.恋のライバルであろうとも「ライバルと切磋琢磨し合いながら愛を磨く」という理由でライバルを受け入れると言うのは,やはり隊長であるにふさわしい器の持ち主だと思います.それに引き替え,伊藤詩織は黒いです.「仲間になるフリしてフクロ」というのは,おそらく彼女の本心なのでしょう.それはそれとして,加藤さんは一見まともに見えますが,変態集団に入るにふさわしい程度には変態のようです.



・122卵性 1/3の純情なロマンチカ
恋の話となるとスイッチが入る吉岡さんと,吉岡さんを客観的に観ることができる宮下さんは,良いコンビだと思いました.


・127卵性 だまりスケッチ
海江田先生は宮下さんにならぶ私のお気に入りキャラなので,あえて紹介することにしました.三十路手前と言えども海江田先生は非常に魅力的なのであせる必要はないと思うのですが,漫画的にはそうした方が面白いのでしょうね.ルックスと年齢に反して,子どもっぽい精神を持っているようであり,その辺りのギャップが非常に好ましいです.


・129卵性 むぐぅ
みっちゃんは海江田先生に並ぶ(ry.鯛焼きを食べられてしまったひとはがみっちゃんに虫歯になる呪いをかけたものの,虫歯にかかってしまったのはひとはだったという話です.虫歯の痛みで不機嫌だったひとはを見て,自らの行為を反省し鯛焼きを買ってくるみつば.鯛焼きを買ってきたみつばを見て,虫歯の治療に対する励ましと受け取り治療に立ち向かう決意を示すひとは.そして,それをぶち壊しにするオチ.すべてが良かったです.勘違いが生むいい話をベースに,いい話で終わらせず,そこから話を壊そうとする桜井先生の姿勢は好ましいと思います.私の興味を引いた点としては,みっちゃんがひとはの左頬の腫れに気がついた所ですね.みっちゃん,何気にお姉さんしているんですよね.あと,生クリームをのせたココアを欲するみっちゃんがいいですね.甘味に対する飽くなき欲望が表現されていて,ほほえましい.


・131卵性 もももも吐息
杉崎母はみっちゃんに並ぶ(ry.ひな祭りの話.宮下さんと吉岡さんをぎゅっと抱きしめる杉崎母から母性というものを感じますし,包容力を感じます.正直,杉崎母に抱きしめられてみたいと思います.なんとも柔らかそう.杉崎さんも抱きしめられたいと思っている*3様で抱きしめられた宮下さんと吉岡さんを見て,思わず「ずっ,ずるい」という本音を漏らしてしまいます.実にかわいらしく,杉崎母と杉崎さんの良好な親子関係が伺えるようで,ほほえましく思ってしまいます.一方,今回の話には「腹痛プレイ*4」とかひとはさんの「胸の谷間なんて便所以外の何物でもないよ!!」と言う台詞など,脳をどうやって絞ればその様な発想が出てくるのか疑問に思ってしまう描写が随所にあり,桜井のりお先生はまさに常識を超越した発想力の持ち主だと言わざるを得ないです.


・132卵性 木曜の相談
オカルト少女松岡さんに恋愛を相談している吉岡さんに対する宮下さんの嫉妬を描いた話なのですが.「宮なんとかさんかわいいよかわいいよ」と言わざるを得ないですね.一人では聞いてられないのか,三女さんに付いてきてもらう辺りもかわいいですね.宮下さんは基本寂しがりやさんなのでしょう.付いてきてもらったにもかかわらず言い訳のだしとして三女さんを利用している宮下さん.この辺りが改善すればひとはとの関係も良好になるのでしょうが,このままの方が面白いのは言うまでもないですね.「良い相談相手アピールをすれば『やっぱり宮ちゃんに相談すれば良かった!』ってなるはず」と思い込んでいる辺りのから回りぶりも面白かったです.ただ,面白い理由は「でもホントの恋愛相談は宮ちゃんに相談すると思うよ」と吉岡さんが宮下さんに対する強い信頼感を持っているからなんですけどね.お前らいっそ結婚しちゃえよと言う感じ.宮下さんが三女さんを引っかき回すだけ引っかき回したあげく,三女さんは何の報いもなく被害ばかりを被るという話でした.


・134卵性 見開け! 心の扉
小さい頃からよく背の高さをからかわれ「わー チェホンマン女が来たぞ!」と言われているにも関わらず,「"チェホンマン"女なんて言いづらいだろ! それを言うなら"チェホン ウーマン"だろ!!」と笑いながら言い返せる宮下さんの心の強さはすごいものがあると思いました.

*1:宮下さんを宮下と表記して良いのかどうか,いつも迷います

*2:地面に埋まってサッカーボールのペインティングをして,佐藤くんのシュートを受ける

*3:実の母親ですしね

*4:胃がビクンビクンしている刺激で快感を覚えるプレイらしいです

みつどもえ 3話 「不審者がいっぱい」

みつどもえのアニメをじっくりと見るのははじめてなので,色々と楽しんで観ていました


・オープニング

主役の三人の声優が本人役で歌っているのがなかなか新鮮.口の動きと歌声も合わせているし.こう言うのがはやりなのかな.作品のテーマを上手に伝えている感じ.ごはんをもりもり食べるみっちゃんがかわいらしい.ラストで三女の肩を押す宮下さんも良い感じ.



・本編

4話のうちの3話がひとは主役.ひとは役の戸松さんはよく知らなかったのだけど,役にあった声質と演技だと思いました.佐藤くん役の三瓶さんも上手ですね.三瓶さんは少年役の方が得意なんだろうなと.杉崎さんの「矢部っち,バイバーイ」という声もよかったです.あと,表情に乏しい三女さんを,表情豊かに描く作画と演出は大したものだと思いました.


ひとはと松岡さんの絡みがよかったです.勘違いから生まれるギャグも面白かったんだけど,他者を拒絶している様に見える三女さんも,心の底ではコミュニケーションに飢えているんだなと.チーム杉崎に逃げられたときの逆ギレ.松岡さんと帰宅したときの「練習の成果だろうか」という台詞.「できることがあったら協力する」と水泳の練習を誘われたときの表情.ひとはの本音を引き出した松岡さんは大したものだと思いました.その後台無しになるんですけどね.


友達との誘い方を必死に練習していたり,服の下に水着を着込んでいたり.友達とのつきあいが楽しみなんでしょうね.子どもである以上,それはあたりまえ.では,なぜ孤立していたのか.おそらく,過去に色々とあったのでしょうね.意を決して友達を誘ってみたものの,コミュニケーションが捻れてしまって裏目に出てしまった.その辺りの事情が「ほら駄目だった」という台詞に反映されているように思います.


ひとはを見守ったり,変質者から三つ子を必死に守る矢部っちは先生先生していて,かっこよかったです.矢部っちが担任なのは,クラスの方々に取って幸運なことですね.



・エンディング
夜の空気をふんわりと包んでいて,物語を締めくくるのにふさわしいエンディングだと思いました.詐欺という意見もあるようですが,案外とこの雰囲気が「みつどもえ」という作品の本質かもしれません.



・感想
誤解が誤解を生み,勘違いが勘違いを生む話でした.ただ,登場人物は基本的に善人であり,素直な子どもたちであり,他者を思いやる気持ちにあふれている方々だと思うんですよね.基本は「とても良い話」であり,「とても良い話」をベースにめちゃくちゃやっているんですよね.それが,妙な安心感を生んでいます.登場人物が作品中でひどい目にあったとしても,どこかしら救いがある様に感じてしまうんですよね.

夏への扉に見るベンチャービジネス

82. 開発部の、営業部にたいする苦手意識を、小説にしてみました。:日経ビジネスオンライン
これを読んで,色々と触発されるところがあったので,エントリーを起こすことにした.

 幼女信仰や猫信仰やミソジニー以上に小説『夏への扉』を覆っているのは、「開発部」の、「営業部」にたいする不信である。

 ダニエルは、いまのままの小さい会社でやっていきたい、自分の目の届く仕事がしたい、と主張し、マイルズとベルはといえば、現状維持を考えていたのでは会社は生き残らない、拡大を目ざさなければ仕事自体がやっていけない、という考えを持っている。
82. 開発部の、営業部にたいする苦手意識を、小説にしてみました。 (4ページ目):日経ビジネスオンライン


「開発部」と「営業部」の対立にこの話を落とし込むのは,ちょっと違うかなと思う.ダニィがなぜ起業を考えていたかというと,自由が欲しかったからなんだよね.つまり,夏への扉という小説には,資本家や国家というものに対する強い不信感と,自由に対する激しい渇望があふれているのである.

以下,ハヤカワ文庫SF345 夏への扉 福島正美訳 二十四刷より引用.

ぼくの生まれたのは一九四〇年,世界中が,これからの世界は個人の尊厳など問題ではなく,全体こそが未来の主人になるのだと主張していた時代だった.父はこれを信ずることを肯んぜず,ぼくの名前も,こうした風潮に対する一種の挑戦としてそうつけたのだ.そして,時節の正しさを最後の最後まで証明しようとむなしい努力を続けつつ,北鮮で洗脳を受けて死んでしまった.
P.35

僕は機械工学の学位を持っていたので,徴兵で陸軍に取られたとき,将校への任官試験を受ける資格があったのだが,あえてそうしなかった.と言うのは,いつに,父親譲りの独立独行の野心にぼくが燃えていたためで,命令を与えず,命令を受けず,野心を持たず,とにかく義務だけ果たしたら一日も早く除隊になりたかったからだった
P.35

この様な強烈な独立心を持っているダニィが,マニックス財団の提携の申し出があったときにどの様に反応したかは,いうまでもないだろう.

「だめだよ,ダン.特許権でも確かに確かにある程度の金は入ってくる.それは認めるが,それではぼくらが自分の手で製産から販売までやった場合入ってくる金と較べものにならない」
「なにをいっているんだ,マイルズ.ちっともぼくらが自分の手でやることにはならないじゃないか.ぼくらは,マニックス財団に魂まで売り飛ばしちまうんだ.金のことにしてもそうだよ.マイルズ,きみはいったいいくらありゃ足りるんだ?」
P.63


マイルズとダンの考え方の違いが興味深いところではある.マイルズは大企業の傘下に入ってでも,利益が大きくなる方法を選び,ダニィはライセンス契約で製産・販売を他人の会社に任せ,自らは特許料で収入を得ようとする.この二つは哲学の問題であって,良し悪しの問題ではない.



そして,ダニィがしたかったことは,自分自身の主人になりたかったことであった.

ぼくは,なにも欲得づくで会社の指導権を握ったのではない.ただ一筋に,他人に従う身になりたくなかったから―自分自身の主人でいたかったからだ.
P.41

この「自分自身の主人でありたい」という言葉は,ハインラインの小説に一貫するテーマである.メトセラの子ら,愛に時間を,自由未来,銀河市民,etc....そして,アメリカ人の根底に流れている基本的な精神であり,アメリカをここまで大きくした精神であり,GoogleAppleの様な企業が次から次に生まれているのも,この精神が根付いているからだと思うんだよね.


ダニィがマイルズと仲違いしたのは,開発と営業,実務と技術との問題ではなく,「自分自身の主人でありたい」と言う事にダニィがこだわり,マイルズがこだわってなかったと言う事だと私は考える.そして,その精神が,この小説を不朽の名作に仕立て上げているのではないだろうか.